JR東海はこのほど、鋼鉄製の橋りょうに生じる力を継続的に計測する装置の開発に成功したと発表した。外部電源を必要とせずに鋼橋に生じる力を継続的に計測する装置の実用化は、国内で初めてだという。

装置の設置状況(JR東海提供)

同社の説明によれば、東海道新幹線の鋼橋については8年ごとに実施する詳細な検査のほか、列車の通過などにともなって鋼橋に生じる力を必要に応じて計測しているという。そのためには係員が鋼橋に計測機器を設置し、列車の通過に合わせて橋りょう上でデータ計測を行うことが必要で、計測のたびに多大な労力を要していた。

今回開発した装置はこの問題を解決するもので、内部バッテリーを搭載した計測装置を橋りょうに設置するだけで、その後は装置が自動的に鋼橋に生じる力を週1回のペースで計測する。充電せずに8年以上の稼働が可能で、係員は地上または橋りょう上から装置の表示を確認するだけで良い。測定結果はLED点灯パターンや無線などで遠方からも確認できるようになっているという。

装置は縦横約16cm、厚さ約7cmの直方体。これまでに鋼橋のメンテナンスで蓄積した経験をもとに取得する必要のあるデータを絞り込み、装置本体の低価格化と省電力化を実現する。これにより、設置にかかる初期費用を約8割削減した。

すでに2013年から19の鋼橋にあわせて200台を設置し、長期にわたって計測を行っているとのこと。2015年9月に共和電業とJR東海の共同で特許を出願しており、10月以降には共和電業から一般販売する予定となっている。