書店ガールの著者・碧野圭さんに聞く、作家のお仕事

昨年放送された、AKB48のまゆゆこと渡辺麻友出演のドラマ「書店ガール」といえば、記憶が鮮明な方もいるのではないでしょうか? あのドラマの原作者である作家・碧野圭さんに、作家になるまでの道のりなど興味深い話を伺いました。

■本に関わる仕事は子供の頃からの夢

――子供のときから、文章を書くのが好きでしたか?

文章を書くのが好きだと強く意識したことはありませんが、わりと得意でした。小さい時から引っ越しや転校が多かったこともあり、本を読むことは好きでしたから。それで小学5年生の時には、将来は何か本に関係した仕事をしたいなと思っていました。高校生になった頃には、漠然と出版の仕事に就きたいと思っていましたが、だからといって実際にどうしたらいいかわからなかったので、あの頃は悶々と悩んでいましたね。

――出版業界の仕事をはじめることになったきっかけはなんですか?

大学生のときにやった、編集のアルバイトがきっかけですね。とにかく映画が大好きで、大学入学後は映画情報がたくさん掲載されていた雑誌「ぴあ」を買って、映画をよく観に行っていました。それで「ぴあ」の編集に関わるアルバイトに応募したところ、採用されました。これが、出版業界での仕事の始まりです。
この時の仕事は、ほかの人が作ったデータ原稿をインデックス順に並べるという極めて地味な仕事だったけれど、本を作っていく仕事の携われるのが嬉しかったし、職場の人にも恵まれてました。大学の友達とは映画や本の話をガッツリとできないけど、「ぴあ」の職場の人たちとはそういった話が普通にできるので、呼吸が楽にできる場でもありました。それがきっかけで、出版業界の仕事を目指そうと、改めて決意しましたね。

――大学卒業後、作家になるまでの経緯について教えてください。

最初はフリーライターとして、あて名書きやデータ原稿の作成などの仕事をしていました。それができるようになったら、はみだしの3行記事をやらせてもらえるようになりました。メインニュースにはならないネタから面白そうなものを拾ってきて、3行記事を作るのです。そこで頑張った甲斐があり、徐々にいろんな仕事を任せてもらえるようになって、ようやく特集を任されるようになったのですが、それから半年経たずに、その雑誌が廃刊になってしまったのです。
さぁどうする? と思っていたら、ちょうどいいタイミングで、アニメに関する雑誌を発行している会社を友達に紹介してもらい、そこで働くことになりました。そこは企画を出したらフリーの人間でも任せてもらえるところだったので、やりがいはありましたね。ここで、編集の技術を覚えました。その後出版社で編集者として14年働き、2006年に作家としてデビューしました。

■一冊の本ができるまでの道のり

――本ができるまでの流れは、どんな感じでしょうか?

まず、編集者が企画を考えて、会社で企画会議に通してOKが出たら、著者に依頼します。何回かやりとりをしながら、形にまとめていきOKになったら、今度は校正者と何回かやりとりをして、ようやく完成します。1冊の本ができるまで、短くても半年、長ければ2年3年かかることもありますね。

――1日の執筆時間はどのくらいですか?

多いときは、朝起きてから夜寝るまでほとんど。仕事場に泊まりこんで、朝起きた瞬間に机に向かうのが、一番はかどります。4時間も机に向かうとへとへとになりますね。小説だとぐっとその世界に入り込むので、情報誌の原稿書きと比べても集中力の度合いが違います。

――執筆中に行き詰まったときは、どうしていますか?

家でゴロゴロしながら、ほかの作家さんの本を読むことが多いです。いろいろな作品から刺激を受けて、私も書いてみよう! と、また机に向かう気持ちになれますね。

また、いいシーンが書けると、「私ってすごい!」と自分をほめつつ気分を上げています。いかに気持ちをのせて執筆に打ち込むかで、はかどり具合が変わるんですよ。

■■作家を目指す人に知ってほしいこと

――それでは、作家という仕事の魅力について、教えてください。

自分の好きな題材で書けることでしょうか。書店にしろ、フィギュアスケートにしろ、興味がある世界の人に会っていろんな興味深い話を聴けるのが楽しいですね。それを自分なりに消化して形にできると、その世界を自分のものにした、と思います。

――作家に必要なことは何でしょうか?

やはり、書くのが好きということです。そして、根気強いこと。この二つですね。
小説を書くとなると、一つのテーマを何年も追うこともあります。書店ガールのように5まで出ているものとなると、特にそうですね。そこまでいかなくても一冊書くのに最低でも3~4カ月はかかるので、飽きずに一つのことをずっと追い続けることができる根気強さが必要です。

――作家を目指す高校生へメッセージをお願いします

もし、いま書きたいものがはっきりと決まっているならば、ぜひ書いてみてください。だけど早くデビューすればいいというわけではなく、「これを書きたい!」というものがあれば、年齢問わずいつだって作家になれるチャンスはあります。私も、そうでした。経験が積み重なった今だからこそ、こういう小説が書きたいというものが次から次へと浮かんでくるのです。だからあせらず、書きたいものがはっきり自分の中で見えた時に書き始めても、遅くないと思うんですよ。


「作家になりたい」という強い想いが何より大事、そして、ただ想いを胸に抱くだけでなく、実際に行動に移すこと。仕事の大小関係なく一生懸命取り組むことで、自分の道を切り拓いてきた碧野さんの話は、説得力がありました。
作家になりたいと思っている人は、いろいろな作家さんの本を読みながら、実際に自分でも書き始めてみてはいかがでしょうか。


【プロフィール】
碧野圭(あおのけい)
作家。愛知県生まれ。
フリーライター、出版社勤務を経て、2006年「辞めない理由」で
作家としてデビュー。
著書に、「書店ガール」のほか、「銀盤のトレース」「菜の花食堂のささやかな事件簿」など、多数。


本記事は「マイナビ進学U17」から提供を受けております。
著作権は提供各社に帰属します。

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事