夏に多い皮膚トラブルといえば、あせも。乳幼児に多く見られる疾患だが、よく汗をかく時期は大人でも髪の生え際やウエストなどにできやすく、油断は禁物。今回は、大人にもできやすいあせもの対処法と予防ケアについて紹介しよう。

あせもをかきむしってしまうのはNGだ

あせもの原因や種類

人は汗をかくと角質層がふやけ、汗の出口である汗口がふさがってしまう。そうすると汗が皮膚の表面に流れ出にくくなり、汗管の中にたまって小さな水ぶくれがつくられる。これがあせもの正体だ。

高温多湿の日本の気候でよく見られるあせもが、以下の2つだ。

■白いあせも(水晶様汗疹<あせも>)
皮膚の表面である角質層内に汗がたまって小さな水ぶくれとなったもの。炎症の症状はともなわず、かゆみや痛みもない。乾燥させて清潔にしておけば、2~3日で自然に治る。

■赤いあせも(紅色汗疹)
汗が皮膚の中層の真皮層などにたまって炎症になり、赤いブツブツに。かゆみや痛みをともない、症状が消えるのに1~2週間かかることも。

首周りや脇、胸の下、おなか周り、ひじの内側、お尻、脚のつけ根、膝の裏側などの汗が乾きにくい部分は、あせもができやすいとされている。通気性の低い衣類や下着で長時間覆われているパーツは、蒸れて汗管がつまる原因になりやすく、注意が必要となる。

また、意外かもしれないが、髪の生え際や額にもあせもはできるとか。「吹き出物かな」などと思っていたら、実はあせもだったなんてこともあるのだ。

かきむしるのはNG

この2つのあせもの対処法は下記の通り。

■白いあせも

「こまめに汗を拭き取る」「清潔にする」などのケアで自然に治まる。

■赤いあせも

他の湿疹や皮膚炎と同様に早めに適切な治療を行うことが大切で、皮膚を「清潔にする」「乾燥させる」ことがポイントになる。炎症やかゆみには、薬局で手に入るステロイド外用剤で対処しよう。ただし、注意事項も多いため薬剤師にしっかり相談して選ぶのがよい。

NGなのはあせもをかいてしまうこと。かくことで細菌が入ってしまうと、「汗腺膿瘍(かんせんのうよう)」と呼ばれる腫れと痛みをともなうものができたり、水ぶくれやかさぶたができる「とびひ」になったりする。こうした場合は、皮膚科医の診察を受ける必要がある。抗生物質の配合されたステロイド外用剤を使って治療するのが一般的だ。

あせもにならないための予防ケア

最後にあせもを予防するためのポイント5つを紹介しよう。

・エアコンを上手に使い、室温や温度を調整。なるべく汗をかかないようにする
・衣類は吸湿性の高いコットンや通気性のよい素材、吸汗速乾性能のある素材を選ぶ
・汗をかいたらかきっ放しにせず、清潔なタオルやハンカチで丁寧にふき取り、肌を清潔に保つ
・帰宅したら、早めにシャワーを浴びて汗を流す
・乳児の場合は、おむつをこまめに交換

発汗は体温を調節する重要な役割の一つであり、汗自体を悪者扱いする必要はない。ただ、大人は子どもよりも傷痕が残りやすいので、あせもをかいて重症化させ、色素沈着などのトラブルを招かないように気をつけたい。あせもは「まず予防。できてしまったら即対応」が賢明。本稿を参考にあせも知らずの夏を過ごしてもらいたい。

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