矢野経済研究所は8月3日、2016年1月~6月にかけて実施したドローン世界市場調査の結果を発表した。

同調査では、ドローンをある程度の自律制御が伴う無線操縦飛行機やマルチコプターと定義し、コントロールの全てを操縦者に頼るラジコンは除外している。この前提のもと同社が調べた結果、世界の軍事用と民間用(産業用、ホビー用、サービス)のすべてを合わせた世界市場規模は、2015年で1兆2410億円だった。また、年平均成長率(CAGR)は2015年から2020年にかけて12.9%で推移し、2020年には2兆2814億円まで成長すると推測。さらに、世界市場全体では現状で軍事用が過半を超えているが、2020年までには軍事用と民間用はほぼ半々になると予測した。

分野別にみると、現時点で最大のマーケットとなっている軍事用アプリケーションでは、市場規模は2015年の8068億円から2020年には約1.2兆円にまで拡大すると予測。軍事用ドローン市場は、偵察や戦闘における無人化のトレンドから、従来の有人偵察機を置き換える方向で拡大するが、民間用ドローンに比べると緩やかな成長となる見込み。大型の軍事用ドローンはアメリカが、小型の軍事用ドローンはイスラエルがマーケットを主導しており、軍事用ドローンは、その特徴であるロバスト性(堅牢性)を活かして産業用への転用も進められているが、産業用としてはオーバースペックである場合も多いと指摘した。

また、民間用ドローン市場は2015年の民間用ドローンの世界市場規模は4053億円であり、2020年には約9000億円規模まで拡大すると予想した。同分野の主要マーケットであるアメリカや日本をはじめとする先進国では、ドローンの商用利用には許認可を取得する必要があるものの、ドローンを対象とする規制は発展途上だとした。民間用ドローン市場の拡大を牽引する産業用ドローンは、機体やシステム以上にそれらを活用して提供される民間用ドローンサービス市場の伸長が顕著になる見込みで、同市場規模は2015年の290億円から22020年には2233憶円に達すると予測した。

ドローン世界市場規模予測 (出典:矢野経済研究所)

民間ドローンサービス分野別世界市場規模予測 (出典:矢野経済研究所)