3月に公開され、119万人を動員し興収13億円を記録した山田洋次監督の喜劇映画『家族はつらいよ』の続編となる『家族はつらいよII (仮題)』が製作されることが3日、発表された。

前作となる映画『家族はつらいよ』メインビジュアル

国民的人気を誇る『男はつらいよ』(69年~)をはじめ、『武士の一分』(06年)、『おとうと』(10年)、『小さいおうち』(14年)など、50年以上にわたりその時代に生きる"家族"を撮り続けてきた山田監督による、『男はつらいよ』シリーズ終了後20年ぶりの喜劇となった前作。続編にも、お騒がせ家族・平田家を演じた橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優が再び集結するほか、山田組初参加となるキャストの出演も予定されている。

描かれるのは、平田周造(橋爪)と妻・富子(吉行)の離婚騒動から数年後。周造は、マイカーでの気ままな外出をささやかな楽しみにしていたが、車にへこみ傷が目立ち始めたことから、高齢者の危険運転を心配した長男・幸之助夫婦(西村と夏川)が、免許を返上させることを画策する。頑固オヤジを説得する嫌な役回りを兄妹夫婦でなすりつけ合うも、周造は意地でも運転を止めようとせず、一家はまたもや不穏な空気に。そんな周造がドライブ中、故郷の同級生と偶然出くわし、彼を自宅に泊めたことから、平田家にはさらなる騒動が襲いかかる。

山田監督は、「40年以上も前になるけれども、新宿の映画館で『男はつらいよ』第1作を、観客が大きな声を出して笑っていたのを昨日のことのように覚えています」と回顧。その時、「もっともっと作ってくれ、俺たちまだまだ見てやるからな」という声が聞こえた気がしたそうで、前作でも「たくさんの方から『面白かった、これはシリーズになりますね』と言っていただきました。それは『男はつらいよ』をつくった時と同じでした」と振り返り、「そんな声に後押しされるような気持ちで作ろうと思います」と続編製作への心持ちを話す。

前作のテーマは熟年離婚だったが、今回は「無縁社会」。喜劇映画で「『死』を描くことはタブーだけれども」と前置きしつつ、「あえてそのタブーに挑み、その『死』がもたらす、滑稽でバカバカしい大騒ぎを丁寧に描いてみようと思います」と狙いを明かし、「観客は笑いながら、大笑いしながら、格差社会の重苦しさにもふと思いをはせてくれれば」と呼びかける。加えて、「笑える映画を作ることは昔からのぼくの夢です。笑って笑ってシャツのボタンがちぎれてしまうような、そんな映画こそ作りたいんです」と強い思いを語った。

続編は8月6日よりクランクイン。9月下旬のクランクアップを予定している。なお、前作『家族はつらいよ』のBlu-rayおよびDVDは、きょう3日から発売される。

(C)2016「家族はつらいよ」製作委員会