半導体調査会社の米IC Insightsは7月21日(米国時間)、半導体センサは今後、数量ベースでは毎年2桁成長するが、主要な製品カテゴリで急激な価格低下が起こるため、金額ベースでは数%しか伸びないとの予測を発表した。

新型のウェアラブル機器の登場や自動運転に向けた自動車への多種にわたるセンサ搭載や多数のセンサ端末を必要とするIoTのおかげでセンサの需要は増しているが、 加速度センサ、ジャイロスコープ、および磁気センサの平均販売価格(ASP)の急激な低下により、センサ全体の金額ベースの成長は数%に留まっている。

金額(ドル)ベースの半導体センサの2010~2015年の年平均成長率は8.9%だったが、2015-2020年は5.3%に低下するだろうと同社は見ている。これに対して、数量ベースでは、2010-2015年の平均成長率は20.5%だったが、2015-2020年は12.4%と2桁成長が予測される、数量ベースで2割を超える成長率を達成できたのは、ナビゲーションやスマートフォンに搭載された自動制御機能用センサが大きく伸びたほか、自動車や産業用のセンサが堅実な伸びを示したためである。

直近の2015年は売上高はわずか1%しか伸びず、64億ドル規模だった。2010年代は10年に渡り毎年記録を更新し続け、2020年には83億ドルに達するだろうとしている(図1)。センサの数量レベルの出荷数量は今世紀はじめから毎年記録を更新し続けており、2009年の不況の年でさえ、(金額ベースでは3%減少したものの)数量ベースでは前年比9%伸びた。今後5年間に渡り数量ベースでも記録を更新し続け、2020年には289億個に達するだろうとする。

図1 半導体センサの売上高(金額および数量)の推移。赤線:数量ベース、青線:金額ベース、緑折線:平均販売価格。横軸:西暦(年)、2015年までは実績値、2016年以降は予測。左の縦軸:10億ドルまたは10億個、右の縦軸:平均販売価格(ドル) (出典:IC Insights Webサイト)

大量消費分野での低価格センサの要求で、平均販売価格は、2010年の66セント(約70円)から2015年の40セント(約42円)に低下した。

2016年のセンサの総販売額は3%上昇し66億ドル、数量は13%成長し182億個に達すると予測されているほか、半導体センサの主流であるMEMS技術を使ったセンサ(加速度センサ、ジャイロスコープ、圧力センサ、マイクロフォンなど)に限れば、その成長率は金額ベースで4%、48憶ドルに達するとしている。また、数量ベースでは10%成長し76億個に達する。今後5年間を見た場合、金額ベースでは年平均5.5%成長し、2020年に61億ドルに達するほか、数量ベースでは年平均11.9%成長し、2020年には134億個に達し、MEMSセンサの平均販売価格は年平均5.5%低下し、2015年の61セントから2020年には45セントに下落するとしている。