市場動向調査会社の台湾TrendForceは7月21日、ポケモンGOの世界的な人気により、グローバルAR(拡張現実)ソフト市場が2020年までに300億ドル(3兆円超)に達するだろうと発表した。

ポケモンGOは、世界規模のダウンロード数や熱心なユーザーの数で、ほかの人気アプリを大きく引き離しており、モバイルゲームと拡張現実技術(Augmented Reality: AR)に世界中で極めて大きな関心が寄せられている。

TrendForceの最新の分析結果によると、ポケモンGOからの収入は2017年に8億ドルに達し、グローバルなARソフトウェア市場の拡大に多大な貢献をするだろうとしている。

また同社のウェアラブルデバイス・アナリストであるJason Tsai氏は「AR技術ではなく、ポケモン・ブランドとそのキャラクターIPがゲームの成功を支えている。以前にリリースされたARゲームは、ポケモンのようにはキャラクターのブランド力の長い期間をかけた積み上げがなかったため消費者の共感を呼ばなかった。ポケモンは過去20年にわたりゲーム、映画、アニメ、玩具、その他の産業でフランチャイズを築いてきた。要するに、広範囲にわたるブランドの認識と数百万人のファンの存在がポケモンGOブームの原動力だ」と述べている。

さらには、任天堂がゲームからより多くの付加価値を生みだすことを計画していると指摘。「ゲームからの収益は典型的な構成に応じて山分けされるようだ。そのほとんどは、ダウンロード・プラットフォーム(すなわち、Google PlayやApp Storeなど)とゲームの開発・ディストリビュータであるNianticが手にするだろう。任天堂がポケモンのフランチャイズの一部をコントロ―ルし、収益の一部を受け取ることになるが、これは同社の主要な長期的な目標ではない。本当の目的は、AR技術を使用して、ポケモン・ブランドの継続的な広報を通じて、潜在的な顧客をフランチャイズのもっと価値のある領域(例えばテーマパーク)へ引き付けることだ」と分析している。

同氏は、ポケモンGOの人気は、モバイルベースのAR技術のさらなる技術革新を促進し、AR業界全体の利益になると付け加えている。多くのソフトウェア開発者は、ポケモンGOの成功にあやかろうとAR技術の他の用途を探している。

「アングリバード(Angry Bird)と言う人気ゲームが、モバイルゲームの成長軌道の離陸地点だとするならば、ポケモンGOはモバイルプラットフォーム上のARアプリの急拡大の触媒とみなせよう。多くのアプリ開発者は、ポケモンGOをまねてまがい物のゲームを作成するかもしれない。しかし、キャラクターIPの認識の低さやゲームの稚拙なデザインで成功はおぼつかない。それにもかかわらず、モバイルベースのARゲームが増殖すれば、消費者はAR技術に接触の機会が増加するのは間違いない。人々は最終的にさまざまな活動のためのARアプリを使用に慣れてくるだろう。ポケモンGOは、新しいARゲームアプリの作成に拍車をかけるのに加えて、消費者の日常生活におけるARの役割を拡大するのに役立つだろう」とTsaiはポケモンGoの普及がARの日常成生活へ浸透のきっかけになると見ている。