物質・材料研究機構(NIMS)は7月13日、ハサミを使って好きな形に切ることができるディスプレイを開発したと発表した。

同成果は、NIMS 機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ 樋口昌芳グループリーダーらの研究グループによるもの。

不揮発性ディスプレイとして、電子ペーパーやエレクトロクロミック(EC)ディスプレイが知られている。ECディスプレイは、EC特性を持つ物質を用いたディスプレイであり、物質の酸化還元状態がデバイス内で維持される限り外部電力なしで表示が続くというもので、その性能は用いるEC物質の特性に大きく依存する。現状、実用化に耐えられる材料は極めて少なく、その応用は現在ボーイング787の窓など一部に限られている。

同研究グループはこれまでに、鉄やルテニウムなどの遷移金属イオンを含む有機/金属ハイブリッドポリマーにおいて優れたEC特性を見出してきたが、従来のガラス基板のECディスプレイでは、同材料の長所を生かしきれていなかった。そこで今回、有機/金属ハイブリッドポリマーの製膜性を生かしスプレーでコートすることにより、フレキシブル電極に対して均一なポリマー膜を作製。固体電解質層に関しては、その組成や製膜条件を改良することで、均一な膜厚でかつハサミによる切断が容易な適度の固さを有する固体電解質層を作製した。

この結果、フレキシブルなシート状のECディスプレイの開発に成功。湿気や酸素に対する同ポリマーの高い安定性のため、同ディスプレイをハサミで切り取っても電圧印加により繰り返し表示させることが可能となった。なお、電源を切っても表示は保持される。

同研究グループは今後、ディスプレイの大面積化と多色化を目指していくとしている。

ハサミで切れるディスプレイ。切断された後でも表示される。ディスプレイは、透明電極のついた2枚のフレキシブル基板の間に、有機/金属ハイブリッドポリマー層、および固体電解質層からなる構造を持っている