少子化が進む中で国際社会を勝ち抜くことができる理工系人材を育成する方策を検討する文部科学省と経済産業省の産学官円卓会議が、技術の進歩によって変化する人材ニーズを的確に把握して教育や研究に反映させるための行動計画案を13日までにまとめた。円卓会議はまた、企業が求める理工系人材と教育内容とをマッチングさせるために産業界の人材ニーズを明確にする実態調査を行う作業部会も設置した。

円卓会議は昨年5月に設置された。これまでの議論を基に「産業界のニーズと高等教育のマッチング方策、専門教育の実施」「産業界における博士人材の活躍の促進方策」「理工系人材の裾野拡大、初等中等教育の充実」の3テーマ について産(産業界)、学(教育機関)、官(政府)それぞれに求める具体的対応策を行動計画案としてまとめた。今後同案を一部修正、行動計画の産業界、教育機関、政府それぞれに定めた項目の実施を求める。対応が急がれる人材ニーズ実態調査などの課題(「短期的対応」)については2、3年以内の実施を目指す。

行動計画案は冒頭「海外企業はイノベーション創出の担い手として理工系人材が多方面で活躍しているが国内では人材の流動化が進んでいないこともあり、理工系人材の質的充実と量的確保に向け戦略的人材育成が必要」と明記した。

その上で、大幅な人材不足が指摘されている人工知能(AI)、セキュリティ、IoT、ビッグデータなどの情報技術分野での取り組みを強化し、政府には奨学金給付事業の拡充、産業界には寄付講座の提供などを求めた。教育機関に対しては、学生に数理的思考力習得を促すことや、医療・農業・経営・公共政策などの分野と数理・情報分野を融合した教育研究推進を求めた。

行動計画案はまた、産業界に対して、採用したい理工系人材の「見える化」と採用活動での明確なスキル評価が必要、として「企業として欲しいスキル」を具体的に提示するよう求めた。教育機関には「産学協働」による短期集中プログラムの導入などを求めている。

このほか、学生が学んだ知識や技術を実社会に応用できる力を育成するにはインターンシップ制度が有用として、産、学、官それぞれの立場から制度の普及や拡充を求めた。

行動計画案は「研究開発プロジェクト等を通じた人材の育成」の項目も設け、その中で、分野を超えて横断的に取り組むチャレンジングな大型研究開発プロジェクト推進は学生にプロジェクトマネージメントやグローバル対応力を身に付けさせるため重要、として具体例に「ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)」や「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」を挙げている。

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