JR東日本は12日、羽越本線の突風対策として、従来よりも高性能なドップラーレーダーを山形県酒田市内に設置すると発表した。今月下旬に着工し、今年度中の完成をめざす。

ドップラーレーダーによる突風探知イメージ

ドップラーレーダー設置イメージ

羽越本線では2005年12月、砂越~北余目間で局地的な突風による脱線事故が発生。人命が損われる事態となった。その後の検証で、予見が難しく事故を防ぐことは困難であったとの結論が出たことを受け、JR東日本は2007年、余目駅にドップラーレーダーを設置した。

ドップラーレーダーとは、上空にある雨などの粒子に電波を当て、その反射波によってその粒子の移動速度と方向を計測できる装置。同社は気象庁気象研究所と共同で、レーダーで観測した雨粒の動きから突風の原因となる渦を探知する研究を進めてきた。

余目駅に設置している現行のドップラーレーダーは半径約30kmを観測範囲とするが、新しいレーダーは従来の2倍の半径約60kmの観測が可能に。海岸からレーダーまでの距離は従来の5分の1にあたる約2kmに短縮され、突風の発生域となる海域に近づくことで、早期の突風探知が期待できるようになるという。これにともない、余目駅にある現行のレーダーは撤去する。新たなレーダー設置後も引き続き研究を進め、突風を探知するシステムを用いた列車運転規制の実用化をめざす。