NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とMcLaren-Honda F1チーム(マクラーレン・ホンダ)は7月8日、3年間のテクノロジー・パートナーシップ契約を締結した。これにより両者は、ネットワークやクラウド、IoT、データ収集や解析に関する最新の技術を用いて、F1チームを支えるために最適なパフォーマンスを持つICT基盤の構築に向け、相互に協力を開始する。

握手を交わすマクラーレン・グループ CEOのロン・デニス氏(左)とNTT Com 代表取締役社長の庄司哲也氏

同パートナーシップの第1弾として、NTT Comはサーキットとテクニカルセンター間など国を越えて飛び交うレースデータなどの収集や解析、結果の伝達などを実行できるネットワーク、クラウド、NFV(Network Functions Virtualisation)、一元運用といったICT基盤を2016年秋からマクラーレン・ホンダを含むマクラーレン・グループに対して順次提供を開始する。

これまでマクラーレンは、F1のレース会場や走行中のレース車両などから取得する大量のデジタル・データを英ウォーキングのMcLaren Technology Centreなど、世界中のデータ分析・支援拠点へ伝送するICT環境を必要としていた。

各拠点からのデータ解析結果を確実にレース会場で共有し、対策を実行できることはレーシング・チームのパフォーマンスにも影響する。そのため、NTT Comは英、スペイン、米国、シンガポール、日本など各国のマクラーレンの拠点間を国際ネットワークおよびNFVサービス「Arcstar Universal One」で接続する。

同サービスは、週末のレース中にレーシングカーなどから収集し、発生する大容量のデータをリアルタイムにマクラーレンの技術チームまで伝送し、分析結果をレースに反映するために不可欠なネットワークとなる。また、同社は今後マクラーレンのICT基盤自体の柔軟性や信頼性をエンド・トゥ・エンドで向上させるため、拠点間ネットワーク(WAN)と各拠点内ネットワーク(LAN)の管理を統合していく予定だ。

さらに、マクラーレンの事業の柔軟性や技術変革の加速に向け、企業のクラウド・サービス移行の知見を生かし、用途によって共有型・専有型の双方から選択できるクラウド・サービス「Enterprise Cloud」と、他社サービス含め複数のクラウド基盤をユーザーが一元的に管理可能な「CMP(Cloud Management Platform)」を提供するという。

今後、両社はマクラーレン・ホンダのF1でのパフォーマンス向上のため、先進技術の研究開発を共同で進めていく。