芝浦工業大学(芝工大)はこのほど、最適な温度を心拍データから自動で判断することで快適性と省エネ化を両立する新しい車内空調システム実現に向けた研究を開始したと発表した。

同研究は、芝浦工業大学 機械制御システム学科 伊東敏夫教授、カルソニックカンセイらの研究グループによって行われるもので、これまでの成果は5月25日~27日に行われた「自動車技術会 2016年春季大会」にて報告されている。

同研究グループは、温度変化によるストレスで心拍数の違いや自律神経の乱れが生じるのではないかという仮説を立て、実験を開始。安静にした被験者の環境温度を20分おきに変化させ、心拍間隔(RRI)をもとに、交感神経(HF)と副交感神経(LF)を計算し、RRIの値、RRIの分散、LF/HF成分を計測した。これをサポートベクターマシン(SVM)と呼ばれるパターン識別手法を用いて解析することで、快適かどうかの判断を心拍より行える傾向があることを明らかにしている。

今後は、運転中にリアルタイムで心拍を計測し、心拍データより不快と判断されれば快適になるまでエアコンを制御するなど、製品として形にできる精度を出すため、リアルタイム性の向上や体格の違いを考慮した検証などを行っていくとしている。

今後はドライブシュミレータを使用して実験を行う