福井県立恐竜博物館は6月25日、福井県勝山市北谷の前期白亜紀(約1億2000万年前)の手取層群北谷層から、国内初となる恐竜時代の哺乳類の骨格化石が発見されたことを発表した。

同成果は、福井県立恐竜博物館 宮田和周主任研究員(福井県立大学准教授)らの研究グループによるもので、6月25日に行われた「日本古生物学会2016年年会」で発表された。

同化石は、勝山市の長尾山総合公園(かつやま恐竜の森公園)内施設の「どきどき恐竜発掘ランド」で、2014年6月15日に岐阜県岐阜市在住の舩渡翔琉さんが化石発掘体験の際に発見したもの。同研究グループが実施したCTによる調査によって、北谷層泥岩のブロックに、頭骨の後半部、首、肩、腕、胸、腹部にかけての骨が保存されていることが明らかになり、一部には膝の骨もみられた。身体はやや押しつぶされているものの、各部の骨は関節部でほぼつながっていたという。欠けている頭骨の前半部や腰から後半部分の骨格は見つかっていないが、完全ならば、体長は13cmほどになるとみられる。

恐竜時代の哺乳類は一般に小さいため、化石は稀にしか発見されない。特に、日本ではこれまで歯や歯が植立した顎といった断片的な化石しか知られておらず、同研究グループは、姿を保った骨格の化石が見つかったのは、今回が初だとしている。

CTによる岩石中の多丘歯類の骨格化石画像(左側面および右側面) (画像提供:福井県立大学/福井県立恐竜博物館)