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Appleは今月半ば、同社の開発しているオペレーティングシステム(macOS、tvOS、iOS、watchOS)向けに新しいファイルシステム「APFS(Apple File System)」を開発していると発表した。同社は残り1年半ほどを目処に同技術を製品に投入するとしており、開発が順調に進んだ場合には2018年に出荷されるプロダクトからはAPFSが利用されることになる。

この新しいファイルシステムに関して、DTraceの開発者であり、そしてZFSの開発者でもあるAdam Leventhal氏が、APFSの開発者らとの議論も引用しながらレビューをまとめた。Adam Leventhal氏は複数回のブログ記事の形式をとってレビューを掲載している。掲載されているレビューは次のとおり。

Appleは2014年にスクラッチから今回の新しいファイルシステム「APFS」の開発に乗り出した。ファイルシステムとしてはかなり後発に分類される。同社は1985年に現在採用しているファイルシステムの前衛となるHFSをリリース。1998年には漸進的な改善や機能追加を実施したHFS+を公開。同社のプロダクトではHFS+をベースに、それぞれのプロダクトが機能を拡張したファイルシステムを開発して利用している。

同社がAPFSの開発に乗り出した背景には、この古いファイルシステムを新しいプロダクトに適用することの負担が大きくなってきたことや、複数のプロダクトで微妙に異なるファイルシステムを扱うことの手間を軽減する目的があるものと見られる。

Adam Leventhal氏はレビューの中で、APFSにはボリューム管理に類似する機能が含まれているほか、ほかのファイルシステムには見られないユニークな特徴がある(同ファイルシステム内におけるファイルのコピーはメタデータのコピーのみを行い、実際に変更が加えられた場合にデータのコピーが発生するという、ファイルレベルでのCopy on Writeなど)ものの、ZFSなどの比較的モダンなファイルシステムが実装しているいくつかの機能が欠けていること(冗長性不足、圧縮機能の不在など)なども指摘。機能的には暗号化機能とスナップショット機能の実現に重きを置いたプロダクトのようだと説明している。

ファイルシステムは業務レベルで安定するまで長い時間(検証とデバッグ)が必要だと言われているが、Appleが2018年からAPFSをプロダクトに投入した場合、新規開発されたファイルシステムを3年から4年という期間で成熟させることになり、かなり力を入れて開発を進めていることになる。この点に関して、APFSの開発チームはAppleの試験チームが大きな役割を果たしていると説明している。