日立製作所(日立)は6月27日、人工知能技術を活用し、働く人の幸福感の向上に有効なアドバイスを各個人の行動データから自動的に作成する技術を開発し、同社グループ内で実証実験を開始したと発表した。

日立は2015年に名札型ウェアラブルセンサーで取得した行動データから、組織の生産性に強く相関する組織活性度および幸福感を計測する技術を開発。また、人工知能「Hitachi AI Technology/H(H)」を活用し、企業の経営課題解決を支援するサービスの提供も開始している。これまで、組織活性度および幸福感の向上というテーマでは、三菱東京UFJ銀行や日本航空など13社で実証実験またはシステム導入を行っており、コールセンターにおける実証実験では、従業員の平均幸福度が平均値以上の日は平均値以下の日に比べて1日あたりの受注率が34%高いことが明らかになっている。

今回開発したのは名札型ウェアラブルセンサーから収集した行動データを時間帯・会話相手などの項目で細分化し、これをHに入力することで、各個人にカスタマイズされた幸福感向上に有効なアドバイスを自動作成し配信する技術。利用者はスマートフォンやタブレット端末上で「Aさんとの5分以下の短い会話を増やしましょう」など、職場でのコミュニケーションや時間の使い方に関するさまざまなアドバイスを確認することができる。このアドバイスを実行することで、各従業員の幸福感が高まり、生産性の向上が期待できるという。なお、プライバシーに配慮し、各個人の行動データは匿名化された形で活用される。

実証実験では、日立グループ内の営業部門約600名を対象に、導入効果や運用上の課題などを検証していく。今後、同実験の成果も取り込みながら、今回開発した技術を含むHを中核としたサービスの提供を加速していくとしている。

名札型ウェアラブルセンサー(左)と同センサーを装着した様子

スマートフォン画面の表示例 (アドバイスと行動ログ)