ソフトバンクグループは22日に開催した第36回定時株主総会において、孫正義代表が自身の後継者候補として指名していたニケシュ・アローラ代表取締役副社長の退任を正式に決定した。これに伴い同氏は、代表取締役および取締役から退く。

ソフトバンクグループは22日、第36回定時株主総会を開催。会場の様子は別室のモニターを通じて記者団に公開された

8月11日に59歳になる孫正義氏は、かねてから60代で現役を引退し、後継者にトップの座を譲る意思を示していた。その後継者と目されていたのが、孫社長がこれまで全幅の信頼を寄せてきたニケシュ・アローラ副社長にほかならない。蜜月とも思われていた2人の関係が崩れたことで、ソフトバンクグループの後継者選びは再び白紙に戻った。

第36回定時株主総会に登壇してニケシュ・アローラ氏の退任を伝える孫正義ソフトバンクグループ代表

そのアローラ氏は、第36回定時株主総会の冒頭で舞台袖に登壇。孫代表をはじめとして、社員、グループ会社、そして来場した株主たちに向けて感謝の言葉を繰り返した。2014年9月にバイスチェアマンに就任したアローラ氏のアドバイスのもと、ソフトバンクグループではこれまで有望なインターネット企業への投資を行ってきた。こうした業績を振り返り、同氏は「グループ変革のための種まきをさせて頂いてきた」と総括した。

アローラ氏は、株主総会の冒頭で舞台袖に登壇して挨拶した

アローラ氏が退任する理由

前夜にソフトバンクグループが発表したプレスリリースは、アローラ氏が退任する理由について触れている。一部を抜粋すると「私(孫正義氏)の60歳の誕生日にソフトバンクグループの経営を引き継いでもらおうと考えていました」「その一方で、私はまだやり残した仕事があると感じていました」「少なくともあと5年から10年は代表取締役社長として当社を率いていく必要があります」とのこと。つまりアローラ氏に後を継がせたかったが、孫代表自身が考える退任タイミングが延びた、という背景があったようだ。

当のアローラ氏は、この日の株主総会で「若い起業家、創業者と触れ合う中で、孫社長自身も若返ったのではないか。再びグループを引っ張っていく情熱とエネルギーを取り戻された」と発言。そして「その決断を尊重しているし、これからもサポートしていきたい。孫社長は心もお若く、業界をリードしていくことができる方だと信じている」と語った。

2014年9月にバイスチェアマンに就任したアローラ氏のアドバイスのもと、ソフトバンクグループではこれまで有望なインターネット企業への投資を行ってきた

ニケシュ氏の挨拶に対し、孫代表も「本当に素晴らしい人物で、とても大きなサポートをいただいた」と退任を惜しんだ。なおニケシュ・アローラ氏は7月1日からソフトバンクグループの顧問に就任。孫代表は、少なくとも向こう5年から10年は代表取締役社長として引き続き同グループを率いる意向を表明している。