富士フイルムは6月16日、患者ごとの体内の立体構造を正確に描出できる、人工知能を用いた画像処理技術を開発したと発表した。

同技術は、X線で撮影した乳腺や脂肪といった人体の構造情報が登録されたデータベースをもとに、撮影した画像を独自のアルゴリズムで分析するというもの。撮影したX線画像から、人体の厚みを推測することや、人体の構造情報に当てはまらないと認識したものをノイズとして画像から取り除くことなどにより、粒状性が良く、高精細なX線画像を提供し、撮影X線量を大幅に低減することが可能になっている。

同技術を搭載した、乳がん検査用デジタルX線撮影装置「AMULET Innovality」用のオプションソフトウェア「トモシンセシス撮影用ソフト Excellent」が、富士フイルムメディカルを通じて7月1日より発売される予定。

同ソフトでは、同技術によって乳房構造のパターンに当てはまらないものをノイズとして認識し画像から取り除くため、石灰化や乳腺構造が重なって見える領域であっても、これまで見分けにくかったノイズと微小な石灰化の判別が容易となる。

また、撮影した複数枚の2次元の画像を再構成し、乳房の断層像を推定する際に、逐次近似法を用いて被写体の構造の位置情報をより正確に抽出する作業を繰り返し行うため、乳腺や石灰化など乳房の立体構造を高精度に認識することができる。逐次近似法は、位置情報の抽出作業を繰り返し行うことから、一般的には処理に時間がかかるが、独自のアルゴリズムを採用したことで、スピーディに被写体の正確な構造を認識することが可能となった。

さらに、断層像を再構成する際に活用する画像の情報量を従来比約4倍に増やし、乳房の微細構造をより精細に復元可能となったため、読影しやすい画像が生成できる。これらの特長により、従来比最大約4割の低線量化が可能となっている。