日本銀行の黒田総裁は6月16日午後に開催された記者会見で、急速に進んでいる円高について「好ましくない」とする意見を示した。

黒田日銀総裁、円高の進行「好ましくない」

マイナス金利、「銀行の利益への下押しになることは事実」

黒田総裁は「経済のファンダメンタルを反映しないような円高の進行であるとか、ボラティリティの増加は好ましくない」と話し、その上で「行きすぎた為替の動きは適当でないし、行き過ぎた場合に物価上昇率に対する影響も大きく出てくる可能性があるということは十分認識している」と述べた。

なお、6月16日の為替市場は日銀の追加緩和見送りを受けて、大幅な円高ドル安が進行。1ドル104円台にまで下落した。

マイナス金利のデメリットについては、「金利全般が低下する中、貸出金利も低下しており、それが銀行の貸し出しに伴う利益への下押しになることは事実」としつつ、「大手行も地域銀行も極めて高い収益を上げており、今のところマイナス金利付量的質的緩和が金融機関の収益に大きなマイナスを与えるとは全く思っていない」との認識を示した。

消費増税の延期については、具体的な意見は差し控えたいとした上で「財政に対する信認をしっかり確保するということが重要。日本銀行としては政府による財政再建に向けた取組が着実に実行されることを期待している」と話した。

英国のEU離脱問題については、「日銀としてはイングランド銀行を始め、海外の中央銀行と緊密に連絡を取っているところで、日本を含めた国際金融市場や世界経済に与える影響については十分に注視していきたい」と述べた。