富士通と日本マイクロソフトは6月9日、両社が提供するパブリッククラウドサービスを東京大学が採用して約5万人のIDを一括管理可能な統合認証基盤を含めた全学事務システム基盤を構築し、既存システムの移行を行っていることを発表した。

環境構成イメージ

人事・給与システムの移行は完了して運用を開始しており、ほかの業務システムも順次クラウドへ移行し、2017年1月までにすべての事務システムの移行を完了する予定。また、2016年6月15日には、同システム基盤上で職員を皮切りに「Office 365 Education」の利用を開始し、全学の研究活動を支える情報共有やコラボレーションの基盤として活用する。

今回「A5 for Microsoft Azure」を利用したことで、富士通は設計期間を除き、1カ月で東京大学の事務システム基盤の構築を完了した。2017年1月に学務システムのクラウド移行が計画されているが、3カ月でのシステム基盤の構築を富士通が担うという。

また、クラウドサービスに移行することで、システムの保守と運用管理がクラウドサービスに一元化されるため、システムの運用管理業務負荷と消費電力を低減できる。加えて、2016年第3四半期には、定額のデータ転送料のみで利用できる学術情報ネットワーク「SINET5」と本システム基盤を直接接続して運用する予定であるため、クラウドサービスとの接続費用も削減できる。こうしたことから、同大学では年間のシステム運用コスト3割、および消費電力3割を削減可能と見込んでいる。

さらに、日本マイクロソフトの「Azure Active Directory Premium」の機能により、ユーザー名とパスワードに加えて、利用者があらかじめ登録してあるスマートフォンにワンタイムパスワードを送信し、認証要素として利用することで、認証手段の多層化が可能となっている。スマートフォンでワンタイムパスワードを受信する手段には、スマートフォンアプリ、ショートメッセージ、電話を利用できる。これにより、同大は高度なセキュリティを保ちながら、学内外で利用するサービスに最適な認証方式を選ぶことができる。

東京大学が採用したパブリッククラウドサービス以下の通り。

  • クラウドプラットフォーム「FUJITSU Cloud Service A5 for Microsoft Azure」、および「Microsoft Azure」(2016年2月運用開始)
  • 統合型学内情報共有クラウドサービス「Office 365 Education」(2016年6月運用開始予定)
  • 「SINET5」と「Microsoft Azure」の直接接続(運用開始日は未定)