色情報が残っていない昔の白黒写真でも美しく彩色できる「カラー化技術」を早稲田大学理工学術院の研究グループが、人工知能(AI)の「ディープラーニング」(深層学習)技術を応用して開発した。白黒画像をカラー化する方法はこれまでもあったが、写真や映像にまつわる記録や証言などの情報が必要だった。新技術は自動変換方式で、今後広い範囲で活用されそうだ。

写真 早稲田大学・大学史資料センター所蔵の大隈重信(大隈邸)の白黒写真を新技術でカラー」化した画像(早稲田大学研究グループ提供)

早稲田大学理工学術院の石川博(いしかわ ひろし)教授や飯塚里志(いいづか さとし)研究院助教らは、この新技術を「ディープネットワークを用いた大域特徴と局所特徴の学習による白黒写真の自動色付け」と呼び、論文にまとめてこのほど発表した。

研究グループによると、新しい技術は、カラー化したい白黒写真の画像全体から得られる「大域特徴」と画像の小さい部分の「局所特徴」のそれぞれからデータを収集して独自のモデルで処理。カラー化の手掛かりになる大量の画像分類データも用いて「ディープラーニング(深層学習)」してカラー化するという。ディープラーニング技術の応用により「(100年前の白黒写真でも)夕暮れの空や人の肌などの自然な色付けを人の介入を必要とせずに可能になった」としている。

ディープラーニングは、人間の脳の神経回路を模して情報処理し「コンピューターが自ら学ぶ手法」といわれる。データ処理をあらかじめプログラムする従来の手法と異なり、AIが入力された大量データの特徴を自ら見つけて反復学習する手法、とされる。

この研究は科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として実施された。

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