「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」の舞台挨拶の様子。(左から)あんど慶周、鈴木亮平、清水富美加。 (c)あんど慶周/集英社・2016「HK2」製作委員会

あんど慶周原作による実写映画「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」の上映イベント「アブノーマルナイト」が、去る5月25日に東京・新宿バルト9にて行われた。

舞台挨拶には変態仮面に変身する主人公・色丞狂介役の鈴木亮平と、ヒロイン・姫野愛子役の清水富美加、原作者のあんどが登壇。鈴木は「今日は『アブノーマルナイト』、日本語にすると『変態の夜』。皆さんよくこんなイベントに来ましたね(笑)。ナイス変態!」と挨拶した。

司会から「この変態仮面というキャラはどのように生まれたんですか?」と聞かれると、あんどは「もともとは僕が小学生の頃に、パンツ一丁になったときに『これを肩にかけたら面白いな』と。大人になったときに『あれをマンガにすれば読者は絶対に笑うだろう』と思って、そのために作ったマンガです」と秘話を披露。鈴木に「ってことは、(発想の)元はパンツを顔に被ることじゃないんですね」と驚かれると、「それはよく言われるけど、こっち(コスチューム)が先なんだよ。おいなりさんありき(笑)」と強調。そこに清水が小声で「おいなりさん先行……」と反応すると、鈴木が「気を付けろよ」と注意するが、清水は「アブノーマルな夜にそんな心配してられないです。ヤバい見出しにしてください」と堂々と言い放った。

さらに「変態仮面のあの動きはどう生まれたのか」を問われるとあんどは「変態だけだったらカッコよくない。だけど普通のヒーローの動きをしてもそれは変態じゃない。だけどどんなカッコいいポーズでも、クッと腰を入れるだけで変態っぽくなるんです」とコメント。ここで鈴木が「これは普通のヒーローのポーズ。でもこれに腰を入ると……」と変態仮面的なポーズをいくつか実演し、清水も「変態だ!」と笑顔を見せた。

あんどが「僕より詳しいと思います」と鈴木の動きに太鼓判を押すと、鈴木は「たしかに映画の『1』(『HK 変態仮面』)のときは、マンガの動きをなぞることに集中してました。だけど今回はそれにとどまらず『先生は描いてないけど、変態仮面ならこのポーズをするだろう』と、先生の頭を飛び出して『俺が変態仮面だ、誰にも文句を言わせない』というポーズを半分ぐらいやりました」と語る。さらに「僕の中では先生の描かれた『ストロングスタイル』のほかに、先生の描かれていない、美しい『ビューティフルスタイル』がある」とまたしても変態仮面的ポージングを披露した。

ここで司会が「実は『変態仮面』の輪が世界に広がっている」という話題を切り出す。そして今作がアメリカ、スイス、カナダ、韓国などの映画祭に出品が確定し、さらに台湾、香港、韓国、シンガポール、フィリピンでの順次公開が決定しているほか、アメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアからも配給のオファーを受けていることが発表された。

さらに司会から「ドイツのテレビ局・TELE5が前作の特集を組んだところ大反響があったため、テレビ局側はエミー賞に推薦するも撃沈した」というエピソードが披露されると、鈴木は「でしょうね」と笑いつつ、「福田(雄一)監督は、『日本はもちろん、海外にウケる映画にしたい』っていうのはずっと言ってたので、現実になりつつあるのはすごくうれしい。『変態仮面』には日本人の良さが詰まってるんですよね。ゼロから作り出すのではなく、よりクオリティを高めて輸出するみたいな。アメコミヒーローを元にしてるけど、そこに日本人の美意識を注ぎ込み、日本車と同じで余計なものを削ぎ落とす。だってほとんど着てませんから(笑)」と持論を展開。清水も「ドイツってヨーロッパのドイツですよね?」と天然ぶりを発揮しつつも、「そんなとこまで広がってるのは、世界中に変態がいることの証明でもありますよ。人類イコール変態みたいな感じ。もっと広がれって思います!」と鈴木に同調した。

さらに清水は、「もしエミー賞側が『変態仮面』に賞をあげようってなったら、鈴木亮平さんは変態仮面の格好してレッドカーペットですよ」と提案。鈴木も「これが外国の作品賞を獲るようなことがあったら……レッドカーペット、変態仮面で歩きますよ!」と断言し、場内からは拍手が巻き起こった。映画「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」は全国で公開中。

(c)あんど慶周/集英社・2016「HK2」製作委員会