富士通研究所は5月25日、無線通信を使うIoT機器を現場に設置するために必要な期間を短縮し、安定した稼働を実現するフィールドエンジニアリング技術を開発したことを発表した。

今回、IoT機器を設置する現場のレイアウトと行き来する人の状況を自動で取り込んで電波シミュレーションを行い、無線機器の設置位置を自動決定する技術と、IoT機器の設置現場で使われている電波を自動分析し混雑の状況を可視化する技術を開発。これらの技術により、従来の3分の1程度の期間で無線機器を設置することが可能になり、迅速なIoTサービスを実現する。

具体的には、3次元空間デジタイジング技術と移動人体のモデル化技術により、従来、膨大な手間と時間が必要だった電波シミュレーションの取り扱いを簡易化した。

3次元空間デジタイジング技術ではこれまで手作業で1週間程度かけていた作成作業を測定時間含め2時間程度に短縮し、移動人体のモデル化技術では約3日要したシミュレーション時間を一般的なPCで15分以下に短縮したという。

電波シミュレーション技術の仕組み

さらに、電波の干渉状況を可視化する技術では、無線規格(無線LAN、Bluetooth、ZigBeeなど)ごとに準備した信号パターンと受信信号との独自の相関計算により無線規格を識別する。受信信号が準備した信号パターンと異なっている場合に、周波数補正前の乗算結果が高いランダム性を持つことを利用して高い識別性能を実現し、従来手法に比べ識別感度を2倍に向上させることに成功した。

同技術は、2016年度上期中に富士通のコンサルティングサービスとして提供される予定。

電波干渉可視化技術の仕組み