トレンドマイクロの研究機関Trend Labsが2016年第1四半期のレポートを公開した。ランサムウェアの国内での検知数が前年同期比で9.2倍にのぼる8,300件と増加、法人では前年同期比で57.5倍という爆発的な増加が見られる。

レポートは、2016年第1四半期のセキュリティ状況を国内とグローバルに分けて報告するものだが、日本国内においては、ランサムウェアの感染被害がさらに拡大。8,300件の検出台数のうち、個人利用では前期比で2倍、前年同期比で7倍となる6,000件、法人では前期比4.3倍、前年同期比で57.5倍という爆発的な増加が見られる。それを裏付けるように、同社のサポートセンターへの法人利用者からの被害報告数も前期比2.7倍、前年同期比24.7倍になるという。

国内ランサムウェア検出台数推移 (Trend Labs 2016年第1四半期 セキュリティラウンドアップより)

また、ランサムウェアの急激な拡大の裏でネットバンキングへの攻撃も拡大しており、国内ネットバンキングを狙うオンライン銀行詐欺ツールの検出台数も、2014年第2四半期以来最大となる1万5,000件を超えている。

爆発的な増加を見せた日本の第1四半期の検知数だが、件名や本文は英語であり、第1四半期の急激な増加ですらまだ、本格的な日本を狙ったものではなく、世界的なばらまき攻撃の一部が日本へ流入している状況だと同社は分析しており、今後国内での本格的なランサムウェアの拡大を懸念している。

そのほか、レポートでは家庭用ルータのDNS設定書き換えを狙う不正スクリプト「JITSON」の検出を日本で継続的な確認(2016年第1四半期には16,900件)、モバイル版ランサムウェアでの日本語表示対応の確認、大手企業を狙うオンライン銀行詐欺ツール「QAKBOT」の台頭、第1四半期に起こった世界での情報漏洩事件などを採り上げている。