NECは5月23日、警察や消防などパブリックセーフティ領域で利用する公共LTE専用網(PS-LTE: Public Safety LTE)において、基地局から電波の届かないエリア(圏外)でも災害や事故の現場から高画質な映像送信を可能とする端末間通信技術を開発したと発表した。

圏外端末から基地局までの通信ルートの選択

現行の業務無線は音声通話を目的とした通信網のため、映像送信が可能なPS-LTEの導入検討が進んでいる。新技術では、PS-LTEの圏外(カバレッジ・ホール)に存在する端末が基地局まで最も高速に通信が可能なほかの端末を圏内から探し出し、その端末を介してネットワークに接続する。

これにより、圏外からでも高速なLTE網を用いて大規模災害や大事故の状況を映像で送信することが可能になるため、的確な情報把握と迅速な対応が実現され、パブリック・セーフティ領域における業務の高度化に貢献するとしている。

同社は、大規模商業施設での災害救助活動を想定したシミュレーションを行い、圏外になりやすい屋内にある端末の中で高品質な映像送信が可能な端末の割合が標準技術では全送信端末の45%にとどまるのに対し、新技術では87%の端末が送信可能になることを確認した。

同技術により、端末間通信を利用したネットワーク接続時でも高品質な映像送信を可能とし、PS-LTEによる映像送信の活用エリアが広がることで、災害や事故の際の組織的活動の高度化に貢献するとしている。