メンター・グラフィックス(メンター)は5月24日、電気自動車/ハイブリッド車(EV/HEV)に搭載されるパワーエレクトロニクスの信頼性を評価する新製品「MicRED Power Tester 600A」を発表した。

今回発表された「MicRED Power Tester 600A」(画像提供:メンター・グラフィックス)

同製品は1台あたり最大16のIGBTを同時にテストすることが可能。現行のIGBTテストでは「1テストスロット77部品」という基準が設定されているが、MicRED Power Tester 600Aでは最大8台つなぐことで一度に128サンプルの熱信頼性を一度に検証することができる。各IGBTの劣化進行具合のデータを生成できる「構造関数」機能を搭載するほか、電流、電圧、各ジャンクション温度の感知からパッケージ構造の劣化を示唆する「構造関数」の変化まで、全ての診断情報をテスト中に記録するため、パッケージ開発、信頼性テスト、受け入れ部品の一括チェックを製造前に実行できるようになる。また、同社独自のキャリブレーション技術によりシミュレーションエラーを0.5%にまで低減するなど、テスト時間の短縮だけでなく精度向上にも寄与するとしている。

「MicRED Power Tester 600A」の概要 (画像提供:メンター・グラフィックス)

都内で行われた説明会に登壇した同社のキース ハナ氏は「IGBTのEV/HEV市場におけるシェアは年々増加している。2015年の米国における自動車メーカーの車両リコールは過去最多数を記録した。また、2014年には米フォード・モーター・カンパニーや米テスラモーターズがオーバーヒートが原因のリコールを実施した。自動車メーカーは熱管理をしっかりしないとこうしたリコールで多大なコストがかかってしまう」と語り、IGBTのシェア増加が予想されるEV/HEV市場に対してMicRED Power Tester 600Aが重要な開発ツールとなるとの見解を示した。

米国でのリコール事例を挙げながらMicRED Power Tester 600Aの重要性を訴えたハナ氏 (右画像提供:メンター・グラフィックス)