米Googleは5月20日(現地時間)、同本社のある米カリフォルニア州マウンテンビューで開催されていた開発者会議のGoogle I/Oにおいて、モジュール型スマートフォン「Project Ara」の開発者キットを今年2016年秋に、より薄型化された市販バージョンを2017年に提供すると発表した。もともとLenovoへの売却前にGoogle傘下のMotorolaで進められていたプロジェクトではあるが、幾度の計画変更と出荷キャンセルを経て、ようやく形が見えようとしている。

Project Araのページ

同件はWiredなど複数のメディアが報じている。Google内で新しい技術やサービスの開発や模索を行う「Advanced Technology and Projects (ATAP)」部門のプロジェクトの1つとしてスタートした「Project Ara」だが、初期の構想段階も含めれば実に5年以上にわたる期間にも続いており、プロトタイプ公開後も計画がたびたび変更されるなど、非常に難産なプロジェクトであったことがうかがえる。特に最初のプロトタイプが公開された翌年には、プエルトリコでのテストローンチから始まり、全米各都市で順次提供エリアを拡大していくという話があったが、結果的にこれはキャンセルされて現在の形に落ち着いている。

現在のProject Araは、ベースとなる「フレーム」にさまざまな「モジュール」を追加することで機能拡張が可能になっている。フレームにはSoCや通信、バッテリなどの基本機能が含まれ、ここに6つの「スロット」を使って「モジュール」をはめ込んでいくことでユーザーごとに機能カスタマイズが可能となる。例えば高解像度カメラや、トレッキング用のGPSモジュールや各種センサー、写真を大量に保存するための外部ストレージといった具合だ。基本となるフレームのスペックは控え目で値段も比較的抑えられているが、モジュールの追加次第で特定用途にはハイエンドスマートフォン以上の力を発揮する場合もある。全部入りのハイエンド製品では、買い換えごとにすべて新しいものに乗り換えていく必要があるが、Project Araではスロットの共通化でモジュールの使い回しが可能であり、仮にフレームを乗り換えても過去のモジュールをそのまま流用できる点で特徴がある。なお、こうしたモジュールの換装は電源を落とす必要なく、起動したままホットスワップが可能なようだ。

Project Araのエコシステムを支えるのは、こうした機能豊かなモジュールを開発するサードパーティの存在だ。現在公開されているProject Araでは一般ユーザー向けのニュースレター登録のほか、モジュールを開発するパートナーの募集も行っている。興味ある方はProject Araのページのほか、YouTubeに公開されている最新のプロモーション動画も参照しつつ検討してみてほしい。