東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの研究グループはこのほど、「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の分析結果報告を発表した。

非認知的スキル別の平均所得(単位:万円)

「勤勉性」や「まじめさ」が高い人は年収もアップ?

IQや論理力などの認知的スキルが、個人の社会・経済的な成功と関連があることは知られているが、最近の研究では、勤勉性や忍耐力などの非認知的特性も、社会・経済的な達成と関連していることが報告されているという。

同調査では、中学生のときに獲得した「勤勉性」「まじめさ」「忍耐力」などの非認知的特性が、将来の所得を上昇させていることが判明。「勤勉性」が最も高いグループと最も低いグループの平均年収の差は65万円、「まじめさ」では73万円、「忍耐力」では75万円の差がついていた。

男女別にみると、非認知的スキルによる所得の差は女性より男性の方が大きかった。その理由の1つとして、女性の場合は非正規雇用者が多く、非認知的スキルによる違いが直接所得に反映されない雇用形態にあることを挙げている。

資産とその相続・贈与の不平等について調べたところ、資産総額は「なし」と答えた人は5.7%だった一方、「5,000万円以上」も1.5%と、ばらつきがみられた。最も多いのは「1000万円以上3000万円未満」で20.7%だった。

この1年間における親からの相続・贈与の有無を尋ねたところ、「受け取った」は7.2%で、金額は「100万円~300万未満」が22.4%で最多。また、300万円以上に限定した場合、自分の子供と同居していることが相続・贈与を受けやすくしていた。

調査期間は2015年1~3月、有効回答は28~44歳の個人3,552人。