「ディエンビエンフー」12巻

西島大介「ディエンビエンフー」の最終12巻が、本日4月28日に発売された。

「ディエンビエンフー」は西島特有のデフォルメされたかわいらしい絵柄で、凄惨なベトナム戦争を描いた作品。月刊IKKI(小学館)にて連載されたのち、9巻以降は単行本ベースの描き下ろし作品として刊行されていた。最後のエピソードは「第三部 未完」なる言葉で締めくくられており、小学館版よりも前に刊行されていた角川版に続く「二回目の未完」となった。

なお5月21日には、東京・米沢嘉博記念図書館にて西島のトークイベント「『ディエンビエンフー』:本当の戦争マンガの話をしよう」が開催される。これは企画展「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から+α」の一環として行われるもの。会場には「ディエンビエンフー」の原画や、12巻の巻末に掲載された参考文献が展示される。加えてフライヤー「DBPプレス vol.12」も会場限定にて配布予定だ。

西島大介「ディエンビエンフー」最終12巻 あとがき

最終巻刊行にあたって~戦争は終わらない~

最終巻となる12集をお届けします。『ディエンビエンフー』は初めての月刊連載でした。2006年「月刊IKKI」9月号の連載開始から約10年が経ちました。
それ以前には、第1巻のみが刊行され、継続誌が見つけられず未完となった通称「角川版」がありました。今回のIKKI版12集は角川版に続き二回目の未完となります。
長い連載の中で、描き下ろし体制への移行や、その上での執筆遅延と休載、さらに2014年の掲載誌IKKIの休刊など、さまざまなことがありました。雑誌が休刊して2年が経ってもなお、こうして刊行を許してくれた小学館、そして編集部の皆さんには感謝をしています。
「未完」と書きましたが、実際この12集は唐突に終了しています。雑誌連載中ならば急いで物語を畳み、「本当の戦いはこれからだ」と潔く打ち切りを宣言することもできたはずですが、掲載誌が既にない状態で描き続けた本作は、物語に大きな余白を残した状態で続いています。
単行本1集冒頭で描いたプロローグにしてエピローグ、1973年3月のラストシーンにまで読者の皆さんを連れていけなかったことだけが強く心残りです。ご愛読ありがとうございました。

西島大介

西島大介トークイベント「『ディエンビエンフー』:本当の戦争マンガの話をしよう」

日時:2016年5月21日(土)16:00~17:30
場所:米沢嘉博記念図書館 2階閲覧室
料金:無料 ※1日会員300円~の会員登録料金が別途必要
定員:30~50名程度
出演:西島大介、宮本大人(明治大学国際日本学部准教授)

マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から+α

期間:2016年2月11日(火)~6月5日(日)
会場:米沢嘉博記念図書館
入場料:無料

第4期:西島大介「ディエンビエンフー」

期間:2016年5月13日(金)~6月5日(日)