国土交通省は4月26日、2月に開催された日本・米国航空当局間協議の結果を踏まえ、羽田空港日米路線間の発着枠について発表。10月末からの冬期スケジュールで、ANAに対して昼間時間帯と深夜早朝時間帯をそれぞれ1便配分し、合計でANAに4便、JALに2便を割り当てる。

日米路線に係る羽田空港国際線発着枠の配分

同協議では昼間時間帯に日米双方1日5便ずつ、深夜早朝時間帯に双方1日1便ずつの運航を割り当て、日本側の昼間時間帯5便のうち4便分は、現在の深夜早朝時間帯から移行させることを定めた。今回新しく配分されたANAの昼間時間帯と深夜早朝時間帯それぞれ1便を加えると、配分後の日米路線に関する羽田空港の国際線発着枠は、昼間時間帯はANAが3便とJALが2便、深夜早朝時間帯はANAが1便とJALが0便となる。

今回の配分に関しては、2013年10月に定められた「羽田空港国際線発着枠の配分の考え方」に則っており、「国内の航空企業が、今後とも、適切な競争基盤に立って事業を進めていくことが利用者利便の増進、我が国航空業界の健全な発展のために必要であるとの考え方を基本」に基づく。具体的には、「日本航空の企業再生への対応について(平成24年8月10日)」から、「JALグループ中期経営計画(2012年度~2016年度)」の期間中、JALに対する公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められていないか等を確認し、適切な競争環境の確保の観点から今回の配分に至っている。

なお、今回配分に至らなかった9便の発着枠については、米国をはじめ各国と引き続き航空交渉を行うこととし、合意が整い次第順次、航空会社への配分を行うとしている。

羽田空港再国際化の経緯

これまでの羽田空港再国際化の流れをまとめると、2010年の羽田空港再国際化では昼間時間帯は年3万回(40便/日)と深夜早朝時間帯は年3万回(40便/日)が定められたが、昼間時間帯は東アジア(中国/韓国/台湾/香港)に限定されていた。2014年の国際二次増枠では、昼間時間帯は年6万回(80便/日)に拡大し、その対象をアジア長距離や欧米を含む高需要・ビジネス路線に拡大された。なお、深夜早朝時間帯は年3万回(40便/日)のままとされていた。

日米航空交渉に限定してみてみると、2010年の合意では昼間時間帯は0、深夜早朝時間帯は4便/日であったが、今回の合意によって昼間時間帯は5便/日、深夜早朝時間帯は1便/日となった。日米間の航空協定は1952年8月11日署名/1953年9月15日発効、2015年冬期スケジュール期における運航状況は、日本・米国双方あわせて旅客便週525便/貨物便週75便を運航している。

日本側の運航会社は3社(JAL、ANA、日本貨物航空)。便数は旅客便週203便/貨物便週24便、拠点は日本側が4地点(成田、羽田、関西、中部)、米国側が12地点(ワシントンDC、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴ、サンノゼ、ホノルル、グアム、アンカレッジ)となっている。

米国側の運航会社は8社(ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空、ハワイアン航空、フェデラルエクスプレス、UPS、ポーラエアカーゴ)。なお、この8社に加えて、第三国企業(大韓航空、シンガポール航空、チャイナエアライン)が運航している。

便数は旅客便週322便/貨物便週51便、拠点は日本側が7地点(成田、羽田、関西、中部、福岡、札幌、仙台)、米国側が22地点(ワシントンDC、ニューヨーク、ニューアーク、シカゴ、ロサンゼルス、デンバー、サンフランシスコ、アトランタ、ヒューストン、シアトル、ポートランド、ダラス、ミネアポリス、デトロイト、ホノルル、グアム、サイパン、アンカレッジ、メンフィス、インディアナポリス、オークランド、シンシナティ)となっている。

輸送実績を見てみると、日本・米国・第三航空会社の旅客数で、2010年が1014.9万人、2011年が947.6万人、2012年が1073.0万人、2013年が1091.5万人、2014年が1084.8万人となっている。