昨年2015年9月末に華々しくスタートしたばかりの中国でのiTunesサービス群だが、そのうち「iTunes Movie」と「iBooks」の2つに関して、4月半ばにいきなりサービス休止になったことが話題になっている。複数の報道によれば、サービス終了直前にAppleの現地関係者が中国政府の規制当局者と会っていたとのことで、同国政府の意向を受けてのサービス休止とみられている。再開の是非や時期については不明であり、そのほかの同国でスタートしたばかりのサービスも含めて今後の動向に注目が集まっている。

中国時間で4月15日、iTunes MovieならびにiBooksサービスに同国からアクセス不可能になったことはApple Insiderなどが報じている。この模様は現地で人気のSina Weiboを通じて情報が一気に拡散し、中国政府によってサービスが強制遮断された可能性が高いとの見方が広まっていた。Los Angeles Timesによれば、現地のApple広報担当は「可能な限り早いタイミングでサービスを再開したい」とコメントしており、現在Appleと中国政府の間で折衝中であることがうかがえる。一方で、いきなりサービスが遮断されたことで、クラウド上にあるコンテンツライブラリへのアクセスが不可能になり、その間のAppleの対応や返金の可能性について心配の声を挙げるユーザーの例も紹介されている。

AppleはiPhoneをはじめとする中国でのハードウェア販売で成功を収める一方で、今回の例にみられるようにサービス全体を含めたビジネスの展開に苦慮している様子がうかがえる。New York Timesによれば、Appleの2つのコンテンツサービスが休止した直後の4月19日(中国時間)、中国国家主席の習近平(Xi Jinping)氏はAlibaba会長のJack Ma氏やHuaweiトップのRen Zhengfei氏らと会談を持ち、今後もコンテンツ規制を強化していく方針を改めて示している。Appleの一部サービス休止もこのキャンペーンの一環の可能性が高いとみられ、今後より中国政府の意向に沿う形でサービスの修正を迫られることになると考えられる。