NECは4月19日、企業・中央省庁・地方公共団体におけるマイナンバーカードを活用したサービス・ビジネス創出を支援する「マイナンバーカードソリューション」を強化し、販売を開始した。

NEC 番号事業推進本部長 戸田文雄氏

今年の1月から、マイナンバーカードの交付が開始され、政府は2020年までのマイナンバー制度の利活用に関するロードマップを設定している。2017年~2018年には「ワンカード化の促進」を掲げており、公的個人認証サービス(JPKI)を活用して、健康保険証やお薬手帳、免許証などとマイナンバーカードを一体化させることを目指している。

NECの番号事業推進本部長 戸田文雄氏は、ワンカード化によるメリットについて、「1枚のカードに集約することで、引っ越しや就職、退職、結婚などの手続きをワンストップで行えるようになるなど、今までできなかったことが実現できる」と述べた。

すでにマイナンバーカードを利用した、住民票・印鑑登録証明書・戸籍謄本のコンビニ交付や、図書館における本の予約・貸出といったソリューションは提供されている。

マイナンバー制度の利活用スケジュール。青い部分が今回のソリューションによって、実現される部分

同社では、マイナンバーカードが保有する「券面事項入力補助」「公的個人認証」「カードアプリ」といった3つの機能を利用することによって、企業・行政機関などの身分証機能やコンビニでの証明書交付機能の付与などを実現する「業務ソリューション」や、マイナンバーカードの電子証明書活用によるカード保有者の本人確認や認証が可能な「認証プラットフォームソリューション」、マイナンバーカードの読み取りを行うためのリーダライタや情報キオスク端末などの「マイナンバーカード対応キーデバイス」の3つのカテゴリで各種メニューを提供していくとしている。

「券面事項入力補助」は氏名・住所・性別・生年月日の4つの情報を出力することができ、「公的個人認証」は署名用と利用者証明用の2つの証明書をオンラインで利用することが可能となっている。これらの機能を利用することによって、オンライン手続きによる本人確認や認証など幅広い場面でのマイナンバーカードの利用が考えられている。

「券面事項入力補助」機能を活用したソリューションイメージ

また、マイナンバーカードのICチップには空き領域があり、この領域は市町村・都道府県などは条例に応じて、国の機関などは総務大臣の定めるところによって、それぞれの独自サービスを提供することが可能となっている。

マイナンバーカードの様式・ICチップ内の構成

「業務ソリューション」のメニューとしては、「社員証機能発行/入退管理システム」や「ECサイトソリューション」「図書館ソリューション」「コンビニ交付」「公共施設予約ソリューション」が発表された。

例えば「社員証機能発行/入退管理システム」は、マイナンバーカードの空き領域に、社員・職員を識別するための情報を登録することにより、マイナンバーカードを社員証・職員証として利用可能となるシステムだ。同システムは、先行して今年の4月から中央省庁に提供されているという。

「社員証機能発行/入退管理システム」の利用イメージ

「認証プラットフォームソリューション」では、マイナンバーカードに搭載されている電子証明書を用いたサービスを行う際に必要となるプラットフォームが提供される。電子証明書をマイナンバーカードの発行元である地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に照会することで、カード保有者の本人確認や現況確認が可能となる。同ソリューションによって、例えば、保険会社での顧客の異動情報(住所変更、生存情報などの現況)把握や、病院での各種承諾書への署名などが可能となるという。同プラットフォームは、企業などのニーズに応じて、個別構築もしくはクラウドサービス型にて提供される。またオプションで、より厳格な本人認証が可能となる生体認証(顔認証・指紋認証)も用意されている。

「公的個人認証」の概要

「マイナンバーカード対応キーデバイス」では、リーダライタや情報キオスク端末など、マイナンバーカードに対応した各種デバイスが提供される。これらのデバイスを「業務ソリューション」や「認証プラットフォームソリューション」と組み合わせることで、トータルなソリューションを提供していくという。

同社は今後、国家公務員や地方公務員を中心に「マイナンバーカードソリューション」を提案していき、広く普及させていく構えだ。