熊本地震の影響で、博多~鹿児島中央間の全区間で運転見合わせが続く九州新幹線。国土交通省は「第7回 平成28年(2016年)熊本地震に関する非常災害対策本部会議」の資料の中で、九州新幹線の被害状況を写真で公開している。

列車脱線による軌道破壊(熊本~新八代間)

煙突倒壊(新玉名~熊本間)

14日21時26分に発生し、最大震度7を観測した地震で、熊本駅から車両基地へ向かう途中だった九州新幹線の回送列車1編成が脱線。新玉名~新八代間を中心に多数の施設被害も報告されている。国土交通省が公開した写真では、脱線した九州新幹線800系やゆがんだレール、落下した防音壁、落下した保守基地内のクレーン、線路内に倒れ込んだ沿線の煙突などが写し出されている。新幹線熊本駅構内の被害状況もあわせて公開された。

熊本市内で脱線した九州新幹線800系の撤去作業は18日から開始されたと報道されている。国交省の資料によれば、脱線車両の撤去後、軌道設備・電気設備・信号通信設備・駅設備の目視点検、損傷している軌道の復旧工事が行われる予定で、復旧見込みについては「まだ目途がたっていない状況」だという。

軌道変状(熊本総合車両所への回送線)

天井クレーン落下(熊本保守基地)

新八代駅ホーム桁柱損傷(約20カ所)

高架橋の調整桁のズレ(新玉名~熊本間など2カ所)

高架橋の柱の亀裂(新玉名~新八代間で25カ所以上)

防音壁落下(新玉名~新八代間で約80カ所)

4月19日時点で国交省が報告している九州新幹線の被害状況については下表の通り。なお、JR九州の在来線は19日、鹿児島本線熊本~八代間、豊肥本線肥後大津~豊後竹田間、三角線宇土~三角間、肥薩線八代~吉松間で終日運転見合わせとなった。鹿児島本線鳥栖~熊本間は本数を減らして運転され、複数区間で徐行を行う。豊肥本線熊本~肥後大津間は19日から列車の運転を再開している。

4月19日までに報告された九州新幹線のおもな被害状況

被害を受けた区間・施設など 被害状況
新玉名~熊本間 防音壁落下、固定ボルト浮き上がり、高架橋の柱のヒビ、調整桁ズレ、沿線の煙突倒壊(線路を支障)
熊本駅 防風スクリーンガラス、可動式ホーム柵、エスカレーターの一部損傷
熊本~新八代間 回送列車(6両編成)全車脱線、スラブ軌道損傷、締結ボルト折損、防音壁落下、調整桁ズレ、高架橋の柱のヒビ
本線から車庫への回送線 軌道変状
熊本総合車両所構内 路盤損傷
熊本保守基地 天井クレーン落下
新八代駅 ホーム桁損傷