海外の大気汚染が問題に……。PM2.5や黄砂って、そもそも何が原因なの?

中国から飛来する黄砂やPM2.5などによる大気汚染が問題になっています。そもそも大気汚染はどうして起こるのでしょうか? そのメカニズムをご紹介します。

■進む砂漠化で黄砂の被害が拡大

春先は花粉の季節。みなさんの中にも、マスクをつけて、つらい季節をしのいでいる人もいるのではないでしょうか。しかしマスクが守るのは、なにも花粉だけではありません。日本では中国大陸からやってくる「黄砂(こうさ)」によって多くの環境被害が出ており、飛来してくる砂ぼこりを吸い込んでしまう恐れもあるのです。

黄砂とは、文字通りただの砂ですが、乾燥した荒れ地の地表部分が風で舞い上がり、偏西風に乗ってはるか日本までやってくるのです。黄砂の量が多いと遠くの視界が砂ぼこりで霞んで見えるほどで、後で確認すると車のボディや洗濯物にくっきりと砂が付着していることが分かります。

発生源は、中国内陸部やモンゴルに広がるゴビ砂漠やタクラマカン砂漠ですが、近年は人間の活動によって黄砂の被害が拡大しつつあります。その原因の一つが中国の大規模な開発です。もともと緑地や森林だった土地を切り開いたことにより、地表がむき出しになった荒れ地が広がっています。ここで発生する砂ぼこりも日本に降り注ぐ黄砂の勢いに拍車をかけています。

またこのエリアでの農業と遊牧民の定住化も黄砂の悪化に影響を及ぼしているのです。乾燥しているため、もともと土壌の水分と養分が乏しいのですが、畑を定期的に休耕させることで土壌を回復させてきました。ところが人口増加にともない、食糧供給量をアップさせるため十分な休耕をすることなく作物を育ててきました。その結果畑の生産性は落ち、役に立たなくなった畑はそのまま放置され荒れ地となってゆきました。

遊牧民が飼っている家畜による食害も深刻です。従来遊牧民はテントとともに移動しながら暮らしていました。家畜は草木を食べるものの、遊牧民が去った後はその土地の草木は回復するため何の問題もありませんでした。ところが教育や医療の充実を図るため中国政府が定住化を推し進めた結果、彼らの住むエリア近辺の草木が家畜によって食べつくされ、回復する間もなく砂漠化が進んでしまいました。

■黄砂・PM2.5・花粉のトリプル攻撃

黄砂がやっかいなのは、化学汚染物質が砂に付着して一緒に飛んでくることです。中国の急激な経済成長により自動車の排気ガスや工場から排出される煙の量が増え、煙に含まれる物質が太陽光やオゾンと化学反応を起こし「PM2.5」と呼ばれる微細な粒子が生成されます。「2.5」は粒子の大きさを表したもので、2.5マイクロメートル(1マイクロメートルは1mmの1,000分の1)と肉眼では見えないほどのサイズなのです。

PM2.5はマスクで防がなければ肺の奥底まで吸い込んでしまい、気管支炎やぜんそくといった循環器系の病気を引き起こす原因にもなります。また花粉と一緒に吸い込むことで、花粉の量が少ない場合でもくしゃみやのどの炎症を引き起こし、結果的に花粉症の症状を悪化させることにつながります。

もともと黄砂は自然現象のため、発生を食い止めるのは不可能とされていますが、中国の大気汚染が黄砂の悪影響を助長しているという見方もあるようです。中国の急激な経済発展が、環境にも大きな影響を及ぼしているというのです。これまで国が本腰を入れて改善に努めてこなかったことも、今日の健康被害の拡大につながっているのかもしれません。

■大気汚染の対策は、まずは情報収集から

黄砂から身を守るにはどうしたらよいのでしょうか? 重要なのは冒頭で触れたとおりマスクを着用すること。マスクでも超微粒子の侵入を防ぐ高密度の素材を使用したマスクがあります。その分、値段も高くなりますが、息苦しくて外出がつらいという人にとってはきっと役立つでしょう。また黄砂は洗濯物につく恐れもあるので、黄砂が多い日には洗濯物を干すのも避けるようにした方がよいでしょう。

黄砂は花粉と同様、春先に多く飛来しますが、黄砂の情報は、環境省のWebサイトにおける大気汚染広域監視システム「そらまめ君」というページでチェックすることができます。日本全国各地の状況が調べられるので、洗濯物を干すときやお出かけ前にぜひ活用してみましょう。

テレビの天気予報でも花粉の情報と一緒に黄砂の危険を知らせてくれることがあります。「気象予報士」がいろいろとアドバイスをくれるので注意して耳を傾けてみてください。気象予報士は昔から人気の国家資格です。気象予報士になれば気象庁や放送局への就職が可能ですが、年々合格者が増えていることもあり、人手が不足していることはないようです。

しかし天気予報の局地化、またそういった情報を発信するアプリやWebメディアなども増えてきました。気象情報を発信する企業は気象庁の認可を受ける必要がありますが、各事業所に気象予報士を配置する義務があるため、民間での人材需要も少なからずあるでしょう。私たちの毎日の生活に密接する天気を追いかけることは、多くの人の役に立つ重要な仕事ではないでしょうか。


参考:
『砂漠化ってなんだろう』根本正之著 岩波ジュニア新書


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