IDC Japanは4月13日、国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場の予測を発表した。

調査の結果、2015年の同市場は前年比4.5%増の6,692億円となり、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR)は3.4%、2020年の同市場規模は7,903億円と予測されている。

国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場 支出額予測:2015年~2020年

2015年の国内BPOサービス市場の主要4セグメント(人事BPO・カスタマーケアBPO・財務/経理BPO・調達/購買BPO)のうち、前年比成長率が最も高かったセグメントは調達/購買BPOサービス市場となり、2014年に続き2桁成長を維持した。比較的新しい分野で市場規模が他セグメントと比べてまだ小さいことも理由のひとつではあるが、コスト削減を狙った全社レベルでの調達/購買プロセス最適化の需要が高まっていることが大きく寄与していると同社は推測。今後も同市場の成長率は高い値を維持するとみられ、2015年~2020年のCAGRは7.1%となると同社はみている。

人事BPOサービス市場は、人事部門の人材不足傾向に加え、雇用流動性の増大による業務量の増加や、業務プロセスやスキルセット管理の統合/標準化需要の高まりなどに後押しされ、2015年の成長率は調達/購買に次ぐ数値となった。市場規模も小さくはないため、国内BPOサービス市場全体に与える影響も大きいと同社は考えている。2016年以降も、成長率は緩やかに下降しつつもその傾向に大きな変化はないと同社はみている。

財務/経理BPOサービス市場は、これまでその中心となっていた定型業務の領域についてはすでに需要が一巡しているとみられ、そのため2015年の成長率は上記2セグメントと比べると低い結果となった。しかし、海外展開などをきっかけとした業務プロセスの統合/標準化などに対する需要が生じており、今後、これが同市場の成長をけん引していくと同社は予測している。

また、カスタマーケアBPOサービス市場は、市場規模では最も大きいセグメントであるものの、音声通話ベースのサービス需要の低下などが響き、2015年の成長率は主要4セグメントの中では最も低い結果となった。2016年以降は、マルチチャンネル対応やデジタルマーケティングとの連動に対する需要などが同市場の成長を支えるであろうと同社はみている。

同社のITサービス シニアマーケットアナリスト 吉井誠一郎氏は、国内BPOサービス市場について次のようにコメントしている。

「BPO事業者は、成長の阻害要因として働きつつある自身の人材不足への対策を早急に進める必要がある。そして効率化や付加価値の向上のため、今まで以上にITを積極的に活用すべきである。加えて、トップダウンによる業務変革型コンサルティングと組み合わせたBPOサービスの提供も、ビジネス拡大のために重要になるであろう」