日本電信電話(NTT)は4月12日、新サーバ・アーキテクチャである「MAGONIA (マゴニア)」の分散処理技術を適用することにより、NTTデータが研究開発する渋滞予測・信号制御システムの故障耐性を向上させると共に、処理を止めずにサーバ台数を増減することを可能にしたと発表した。

渋滞予測・信号制御へのMAGONIA分散処理基盤の適用

NTTデータが研究開発している渋滞予測・信号制御技術は、リアルタイムに収集した大量のセンサデータを利用して、対象エリアにおける交通傾向を分析し(交通シミュレーション)、この結果に基づいて信号機をコントロールする。

交通シミュレーションは計算量が多いうえに、交通量の変化に伴って計算量が時々刻々と変わるため、システムには高いスケーラビリティが求められる。また、決められた制限時間内に確実に分析結果を信号機へフィードバックしなければならないため、システムにはリアルタイム性の高い信頼性(耐障害性)が求められるとしている。

システムの実用化に向けて、システムの信頼性やスケーラビリティの向上を目的に、2015年9月から両社が共同実験を行い、MAGONIAの分散処理基盤の適用手法の確立、および適用後のシステムの信頼性の評価などを行った。

今回の実験では、交通シミュレーションの分析処理部を既存のアプリケーションロジックはそのままにMAGONIAの分散処理基盤上に搭載することに成功し、これによりスケーラビリティや信頼性、リアルタイム性を向上できることを確認。MAGONIAが幅広いアプリケーションに有効であることを実証したという。

交通シミュレーションと通信系サービスの特性の違い

このように、アプリケーション・ロジックへの影響が無く、スケーラビリティや信頼性、リアルタイム性に関するシステム設計開発、および保守運用をMAGONIAの分散処理基盤が担うことで、アプリケーションの開発規模や保守運用稼働の削減によるコスト削減が期待できるとしている。

MAGONIA分散処理基盤の適用詳細

NTTは今後、NTTデータの渋滞予測・信号制御システムの実用化をはじめ、大量のデータを高速に処理することや、いかなる時にもサービスを止めないこと、需要に応じて処理能力や機能を柔軟に拡張することが求められる各種サービスの事業者に、パートナーとしてMAGONIAの価値を提供し、サービス事業者の課題解決やサービスの信頼性向上に貢献していくという。