米Microsoftは30日(現地時間)、開発者カンファレンス「Build 2016」の基調講演において、Windows 10でBashシェルを動かすデモを披露した。仮想マシンやコンテナ、ソースの再コンパイルなどを用いることなく、ネイティブにBashをサポートする。この「Bash on Windows」は、同社が今夏にリリースするWindows 10のアップデート「Anniversary Update」で、開発者向けツールとして追加する予定だ。

Build 2016の基調講演で「Bash on Windows」のデモを披露するKevin Gallo氏(CVP:Windows and Devicesグループ)

Bash on Windowsは、Ubuntuを開発するCanonicalとMicrosoftの共同プロジェクトによって実現しており、MicrosoftのMike Harsh氏などは「Bash on Ubuntu on Windows」と表現している。Windows Subsystem for Linux (WSL)を用いており、Windows 10のcmd.exeコンソールでUbuntuのユーザースペースとシェルが利用できるようになる。ネイティブなBash LinuxバイナリがWindows上で動作するので高速かつ軽快で、Ruby、Redis、emacsなど様々なLinuxツールを利用できる。

Bash on Windowsはまず、Build終了後にWindows Insiderプログラムを通じた提供が始まるが、Harsh氏によると、ベータ段階ではバグや不安定な動作が予想される。他にも注意点として、サーバープラットフォームを視野に入れた機能ではなく、あくまで開発ツールセットであること、またBashからメモ帳を動かしたり、PowerShellからRubyを動作させるというようなBash環境とWindowsの間のやりとりはできないことを指摘している。