ANAは3月30日、3月22日8時20分頃に発生した国内旅客システムの不具合に関して、データベースサーバー間の同期処理を中継するネットワーク中継機の故障が原因だったことを発表。4月には今回の発生原因に加えて国内旅客システムを総点検し、利用者対応の改善点を洗い出し、外部の知見も活用したプロジェクトチームを設置するとしている。

ANAの国内旅客システムの概要

ANAの国内旅客システムは4台のデータベースサーバーで運用されており、このデータベースサーバー間の同期処理を中継するネットワーク中継機で2点の故障が発生、搭乗システム・予約販売システムが停止した。空港の搭乗システムは22日の11時30分に復旧したものの、予約販売システムは23日4時頃まで復旧できない状況が続いていた。

故障のひとつは「中継機能の故障」で、データベースサーバー間の同期処理が正常に完了せず、データの整合性が保たれなくなるため、データベースサーバーを自動的に停止する機能が働いていた。もうひとつの故障は「故障シグナルの発信機能の故障」で、ネットワーク中継機の故障時に発信される"故障シグナル"が起動せず、通常であれば予備機に自動的に切り替わるところが切り替えできず、停止に至ったという。

この影響により、22日には欠航146便で約1万8,200人に、遅延391便で約5万3,700人に影響が出ており、23日には機材繰りのため2便欠航した。また、同システムを使用するスターフライヤーやエア・ドゥ、ソラシドエア、アイベックスエアラインズも影響を受け、欠航・遅延が生じた。こうした状況を踏まえ、ANAの篠辺修社長ら3人を役員報酬20~10%減給1カ月の処分とし、ANAホールディングスの伊東信一郎会長と片野坂真哉社長も同20%を1カ月自主返納するとしている。

再発防止策として24日、ネットワーク中継機が"故障シグナル"を出さない場合でも、データベースサーバーからネットワーク中継機の故障を検知できる改善を実施。なお、不具合のあった機器は製造メーカーにおいて解析し故障個所が判明したため、現在、製造メーカーにて改善策を検討しているという。

22日・23日にシステム不具合で搭乗できなかった乗客には、無償で予約便出発予定日より10日以内に変更・払い戻しを受け付けている。