IDC Japanは3月30日、国内のユーザー企業でエンタープライズITトランスフォーメーション(以下、EIT)の意思決定に関与するCIOを対象にEITの取り組み実態について2016年1月に調査し、国内EIT成熟度を分析した調査結果を発表した。

国内エンタープライズITトランスフォーメーション成熟度のステージごとの分布

EITとは、第3のプラットフォーム技術(モビリティ、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を用いてITインフラストラクチャを刷新し、自社のビジネス変革を支援することを指す。

今回の調査では、ユーザー企業のEIT成熟度をEIT推進の主要な能力である「戦略とイノベーション」「組織開発とタレントマネジメント」「ITサービスマネジメント」「エンタープライズアーキテクチャ」「ベンダーソーシングマネジメント」の5つの評価項目から総合的に分析している。

その結果、国内ではレベル1のEIT成熟度を持つユーザー企業が3.2%、レベル2が27.1%、レベル3が56.6%、レベル4が8.6%、レベル5が4.4%であることがわかった。

限定的導入ステージ(レベル2)と標準基盤化ステージ(レベル3)に分布される企業の合計が全体の8割以上を占め、企業が目指すべき定量的管理ステージ(レベル4)や継続的革新ステージ(レベル5)には至っておらず、第3のプラットフォームの潜在的効果を認知し、第3のプラットフォーム技術の導入を進めているものの、ビジネス戦略と一体となった全社横断的なEITの取り組みが実現できていない企業がほとんどであることがわかったとしている。

また、財務的成果を出している企業(リーダー企業)と、そうでない企業(フォロワー企業)のEIT成熟度の比較も実施し、2つのグループの差は標準基盤化ステージ(レベル3)から定量的管理ステージ(レベル4)にステップアップできている企業数の差に表れていたという。

リーダー企業は全体分布にみられた程の大きなギャップなく、高いステージに向けて、なだらかな分布になっているのに対し、フォロワー企業にとってはレベル4が大きな壁になっているという。

なお、同調査はIDC MaturiyScapeに基づいて、国内ユーザー企業のCIO176人に対するWebアンケートを実施し、この調査結果をもとに国内EIT成熟度が分析されている。

IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊雅行氏は「国内のユーザー企業のほとんどがEITに取り組んでおり、ビジネス変革への対応を進めようとしているが、横並び感が否めない。今、多くのCIOに求められるのは、競合相手を凌ぐ勢いでEITをけん引することであり、真のビジネス変革に向けて、横並び意識から一歩抜け出すことである」と述べている。