宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月29日、26日より通信トラブルが続いているX線天文衛星「ひとみ」の状況を説明した。

同衛星は26日16時40分頃の運用開始から、衛星からの電波を受信できない状況にある。また、26日10時42分頃に地球の周回軌道上を監視している米国国防総省戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)が「ひとみ」の近くに5つの物体を確認したと明かし、衛星が分解したのではと考えられている。

発表によれば、JAXAは28日以降、衛星からの電波を2回受信したとのこと。1回目の受信は内之浦宇宙空間観測所で28日22時頃、2回目はチリ・サンチャゴ局で29日0時半頃だった。しかし、いずれも極めて短い時間の受信であったため、衛星の状態を確認するには至らなかった。

また、JSpOCの発表に関しては事実関係を確認するため、日本宇宙フォーラム所有の上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダおよび美星スペースガードセンター(BSGC)の望遠鏡による観測を行っており、これまでにBSGCにおいて当初の「ひとみ」の軌道近傍に2つの物体を確認し、KSGCでもそのうちの1つの物体を確認している。また、サンチャゴ局で受信できた電波は、KSGCで観測した物体の軌道方向からのものであることが確認されている。

なお、JAXAはJSpOCが公表した情報および今回の通信異常との関係について引き続き確認中だとしている。

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)。 (2015年11月の機体公開時に撮影)