千葉大学は3月25日、スーパーコンピュータ「京」による超高解像度計算により、太陽の磁場生成メカニズムを解明したと発表した。

同成果は、千葉大学大学院 理学研究科 堀田英之 特任助教、東京大学大学院 理学系研究科 横山央明 准教授らの研究グループによるもので、3月25日付けの米国科学誌「Science」に掲載される。

太陽においては、強磁場領域である黒点の数が11年の周期で変動していることが知られているが、そのメカニズムはいまだ明らかになっていない。磁場は、太陽内部の乱流によって生成されると考えられているが、小さなスケールまで乱れた流れが混在する高度なカオス的運動をする内部の乱流の中から、11年の周期を生み出す秩序立った大規模磁場が生み出される過程は大きな謎となっていた。

同研究グループは今回、計算負荷軽減のために実効的な音速を遅くする計算法「音速抑制法」を開発し、「京」による超高解像度計算を行った。

この結果、ある程度の解像度まではこれまでの予測のとおり、乱流が高度になればなるほど小さいスケールの磁場が支配的となり、大規模な磁場は作られなくなった。しかし、今回実現した超高解像度では、小スケールの磁場生成が非常に活発になり、小さいスケールの乱流運動のエネルギーを上回ったことで、小さいスケールでの乱流運動は強く制限され、あたかも低解像度で計算をしているような状況となった。つまり、高解像度であるにもかかわらず、乱流が高度でなくなったといえる。そのため、太陽のような高度に乱流が発達した状況でも、秩序立った大スケールの流れのみが許されるようになり、大スケールの磁場が発達することができるという。

このメカニズムについて同研究グループは、「実際の太陽でも働くはずであり、太陽活動周期の問題解決のための基本的で重要な機構を明らかにしたといえる」とコメントしている。

計算によって得られた乱流(上)と磁場(下)の様子。非常に小さいスケールの磁場が発達している