米FRBによる再利上げの「地ならし」が始まった?

 

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、3月15-16日にFOMC(連邦公開市場委員会)を開催して、金融政策の現状維持を決定した。

同時に公表されたFOMC参加者の個々の政策金利見通しを集計した「ドット」によれば、2016年中に2回の利上げが想定されたことが明らかになった。前回、昨年12月の発表分では4回の利上げが想定されていたので、FRBが利上げに慎重な「ハト派」色を強めたと金融市場は評価した。

しかし、FOMC以降、参加者から利上げに前向きな発言が相次いでいる。3月21日、米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のロックハート総裁が、「4月のFOMCで利上げの可能性あり」との趣旨の発言をした。

22日、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が「利上げを継続すべき強い根拠がある」と語り、年2回の利上げは妥当とした。また、「ハト派」の代表ともいえるシカゴ連銀のエバンス総裁も、2016年は波乱のスタートだったので利上げ見送りは適切だったとしつつも、ハーカー総裁と同様の見解を表明した。

そして、23日には、セントルイス連銀のブラード総裁が「インフレ加速の兆候がみられるので、次回4月のFOMCで利上げを検討すべき」と発言した。

FOMCの仕組みから考える、利上げの可能性

彼らの発言がどれほどの重みを持つのかを考えるには、FOMCの仕組みを知る必要があるだろう。FOMCには、ワシントンのFRB本部にいる5人の理事と、全米12地区に分かれる連邦準備銀行(連銀)の総裁が参加して、金融政策を討議する。理事には、イエレン議長やフィッシャー副議長が含まれる(定員は7人だが、現在2つ空席)。

最終的に金融政策を決定する投票権を持つのは、5人の理事と、NY連銀総裁、そして4人の地区連銀総裁(1年ごとの持ち回り)の、計10人だ。原則は多数決だが、議長が提案する政策に3人以上が反対票を投じることは極めてレアケースだ。

さて、先の5人の総裁のうち、投票権を持つのはブラード総裁のみ。3月のFOMCで即座の利上げを主張して反対票を投じたカンザスシティ連銀のジョージ総裁や、インフレの加速に懸念を示したフィッシャー副議長を加えても、利上げに積極的な投票メンバーは3人。したがって、4月のFOMCで利上げが決定される可能性が大きいとは言い難い。

もっとも、4月や6月に利上げが実施されるのであれば、年内2回、あるいはそれを上回る回数の利上げとの見方が現実味を帯びるかもしれない。

ところで、冒頭で紹介した「ドット」が想定する利上げ回数は、参加者のバラバラな見通しの中央値を取ったものに過ぎない。1回につき0.25%の利上げと仮定して、2016年中に1回の利上げを予想したのが1人、2回が9人、3回が3人、4回が4人ということだった。「ドット」は経済情勢の変化に応じて大きく変わりうるので、あくまでも参考程度にとどめておくべきだろう。

執筆者プロフィール : 西田 明弘(にしだ あきひろ)

マネースクウェア・ジャパン 市場調査部 チーフ・アナリスト。1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市場調査部チーフ・アナリストに就任。現在、M2JのWEBサイトで「市場調査部レポート」、「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑誌など様々なメディアに出演し、活躍中。

※写真は本文と関係ありません

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