宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月23日、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)と協力し木星のオーロラを2週間にわたって観測した結果、太陽風の速度と木星オーロラの強度が深く関わり合っていることがわかったと発表した。同研究成果は3月23日に米国地球物理学専門誌「Journal of Geophysical Research」に掲載された。

木星のオーロラは電波、紫外線、X線など多くの波長帯において地球のオーロラよりも百倍以上明るく光っていることが知られている。その中でX線波長域で観測されるオーロラ(X線オーロラ)は、光速に近い速度の酸素や硫黄のイオンが木星大気に衝突して発光すると考えられているが、イオンが光速近くまで加速されるメカニズムは謎とされていた。

今回の研究では、JAXAの惑星分光観測衛星「ひさき」、NASAのチャンドラX線望遠鏡、ESAのXMMニュートンなどが協力し、木星のオーロラを2週間にわたって観測。その観測結果を用い、太陽風の変動とX線オーロラの発生場所や場所による違いなどを比較した結果、太陽風の速度と木星オーロラの強度が深く関わりあっていることがわかった。さらに、数値計算の結果、X線オーロラを貫く磁力線は木星磁気圏と太陽風の境界面につながっていることがわかり、X線オーロラは地球のオーロラと同様にイオンが太陽風で加速されて発生している可能性が高いことが示唆された。

研究グループは今後さらに観測を進め、X線オーロラの全貌に迫っていくとしている。

木星極域のX 線オーロラが、磁力線を介して木星の磁気圏とつながっているイメージ図 (C)JAXA