石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は3月22日、氷海開発のための高精度氷況観測センサによる国内実証試験に成功したと発表した。

JOGMECでは、日本の資源エネルギーの安定確保を図るため、北極海などにおける資源開発に向けた技術ソリューション事業の一環として「氷海開発を支援するための高精度氷況観測技術の開発」を実施している。

同事業では、施設周辺の海氷分布および接近速度を検知する「オンボード海氷レーダ」、海氷厚、積雪深および氷表面形状が計測可能な「高機能型EM-BIRD(航空機搭載型電磁誘導センサ)」、氷山などによる海底洗掘の痕跡を水中から高精度観測するための「パラメトリックサブボトムプロファイラ」の3種類の機器について、開発および高精度・高機能化を図ってきた。JOGMECは今回、これらセンサの実証実験を実施した。

オンボード海氷レーダについては、精度検証に必要となるデータ取得を目的に、2016年2月25日~2月26日にかけて、東京大学が北海道紋別市にて流氷を対象に実証試験を実施。オホーツク・ガリンコタワーが運営する氷海展望塔オホーツクタワーおよび流氷砕氷船「ガリンコ号Ⅱ」に機器を設置しデータの取得を行った。

高機能型EM-BIRDの実証試験は、2016年3月3日に実施され、海上技術安全研究所、北見工業大学、日本大学および北日本港湾コンサルタントが参加。ヘリコプターから同センサを吊り下げて海氷上を飛行することで、海氷の厚さ、積雪の深さおよび氷表面の形状を高精度に観測できたという。

また2015年4月30日と10月7日には、東京大学および海上技術安全研究所が、長野県青木湖および北海道サロマ湖にて、ゴムボートおよび小型船舶に開発したパラメトリックサブボトムプロファイラを設置し、海底計測を実施。その精度を検証した。

JOGMECは、氷海域における安全で効率的な開発を行うためには、対象海域における氷況を把握できる観測技術が必要不可欠であるとしている。

氷海開発を支援するための高精度氷況観測技術の開発事業概念図