日本の公共交通機関でのベビーカーの扱いについてどう思いますか?

「電車内でベビーカーは折りたたむべき? 」といった論争に代表されるように、公共交通機関でのベビーカー利用については、さまざまな意見が飛び交っている。これらを受けて国は2014年、利用者側に「ストッパーを使う」などの安全な使用、周囲には「移動の手助けをする」などの配慮を要求。交通機関の管理者にもエレベーターの設置など、ベビーカーが利用しやすい環境整備を求めている。

日本の公共交通機関におけるベビーカー利用の状況を、外国人はどのように感じているのだろうか。そこで今回、日本在住の外国人20人に母国の事情もあわせて聞いてみた。


Q.日本の公共交通機関でのベビーカーの扱いについてどう思いますか?

■ベビーカーユーザーに優しい!
・「日本はどこでもベビーカーをもって入って大丈夫だし、階段を上がる時もベビーカー・車いすが問題なく入れるようなところが整備してありますのでとても便利です」(ロシア/20代後半/男性)
・「やっと最近ベビーカーのスペースが車いすのスペースと共用できるようになってきましたので、いい改善だなと思います。オーストラリアでは特別にそういったスペースは設けられていません。ただし、乗客らが自発的にスペースを作ってあげたり、席を讓る場面はよく見られます」(オーストラリア/30代後半/男性)
・「ベビーカーの扱いはとても楽です。安全ですし、心配なしでベビーカーを利用できます。残念ながらエジプトではショッピングモール、スポーツクラブ以外にベビーカーのための設備があまりありません」(エジプト/20代半ば/男性)
・「日本では多くの場所でベビーカー用のスペースが確保されていて、大変ありがたいと思います。ブラジルではそのような配慮が少なくてママには大変不便です」(ブラジル/40代前半/女性)
・「日本ではどの公共交通機関でもちゃんとベビーカー用のスペースがあるし、混み合う時には優先的に場所を空けてくれる。非常によくて便利です。ベトナムではベビーカーを使用する習慣がなかったので、そういうのを考えていないようです。近年、(ベトナムでも)ベビーカーを使うようになってきていますが、公共交通機関での配慮は全然ないです」(ベトナム/30代前半/女性)
・「エレベーターが多く設置されていて、とても親切だと思います。台湾も同じです」(台湾/40代後半/女性)
・「非常に便利だと思います。ウクライナでは公共交通機関でのベビーカー使用はとても不便なので、日本を見習ってもらいたいと思います」(ウクライナ/20代半ば/女性)


■配慮が不十分
・「電車の場合、たまにエレベーターのないところもあるので、ベビーカーを持っているお母さんたちが大変そうです。シンガポールでは必ずエレベーターが設置されています」(シンガポール/20代後半/男性)
・「もう少し配慮してもいいのではと思う。(インドネシアの状況も)あまり変わらない」(インドネシア/20代後半/男性)
・「韓国も同じですが、日本の古い駅は階段しかないところも多いので、大変だと思います。韓国は日本と比べてタクシー代が安いので、赤ちゃんとのお出掛けはタクシーを使う人も多いです」(韓国/30代前半/女性)
・「駅のエレベーターやエスカレーターが足りない。そしてバスなども(ベビーカーを)置く場所がなくて1人で移動するときは大変だと思います。香港はエスカレーターとかは日本より多い気がします」(香港/20代後半/女性)
・「ベビーカーはとても日本で使いにくいです。駅にはエスカレーター・エレベーターがあまりありません。ポーランドには必ず駅にエレベーターがあります。体が不自由な方・車イスのかたも使えます」(ポーランド/30代前半/女性)


■公共交通機関でベビーカーを見たことがない
・「地下鉄やバスでベビーカーは見た事がほとんどないです。イタリアではたたんで乗るのは一般的だと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「日本で電車に乗る時にベビーカーを使用している人はほとんどいなかった。中国も同じような状況である」(中国/20代半ば/男性)


■総評

調査の結果、多くの人が日本の公共交通機関ではベビーカー利用者への配慮がなされていると回答した。中でも多かったのが「ベビーカー用のスペースがあって便利」というもの。各国と比較すると、日本の優れた点と言えるのかもしれない。

一方で、「配慮が不十分」とした人の大半は「エレベーターやエスカレーターが少ない」という回答だった。「母国では必ず駅にエレベーターが設置されている」「赤ちゃんとのお出掛けはタクシーを使っている」など、各国の事情も垣間見えた。

意見としては少なかったが、日本・海外ともに周囲の人がベビーカー利用者のために場所を空けたり、席を譲ったりするといった事例ををあげる人もいた。環境整備も大事だが、ベビーカー利用者も周囲の人も、気持ちよく電車やバスなどを使えるような互いの気遣いが広がっていくことを願いたい。


調査時期: 2016年2月15日~2016年3月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート

※写真と本文は関係ありません