大日本印刷(以下:DNP)は、慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボと遠隔授業に関する共同研究を行うことで合意したと発表した。DNPは、今回の共同研究成果なども活用して遠隔システムを活用した教育ビジネスへの参入を目指すという。

慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボは、遠隔授業運用ノウハウを有し、全国各地の高等学校や自治体における遠隔授業システム構築の監修実績を持っている。その中で、現在の遠隔授業で課題となっている「机間巡視」の機能提供が、今後の普及拡大には重要であると判断し、タブレットや紙などの様々なデバイスを用いて、生徒の学習プロセスデータを取得・管理する技術を持つDNPとの提携による共同研究を開始することになったという。なお、「机間巡視」は、先生による授業内での学生への習熟度確認。

DNPは共同研究成果を基に、一斉学習などの授業で個々の生徒と遠隔地の教員とのリアルタイムなコミュニケーションを実現し、双方の満足度向上を可能にするシステムを開発し、教育事業者に提供するほか、入試改革に伴う新しい授業についてはDNP自体が遠隔授業の提供を目指す。

開発するシステムは、タブレットやデジタルペンなど、生徒用のICTデバイスとインターネットを活用し、手書きや音声、テキストなどの手段で生徒、遠隔地の教員、教室の教員の三者間のコミュニケーションをリアルタイムに行うことで、机間巡視に相当する臨場感を提供する。主な機能としては、各生徒の学習の進捗状況モニタリング、質疑、挙手応答機能、教室内の教員とのコミュニケーション機能がある。

本システムにより、課題文を読む、意見を記述するなどにおいて、従来の遠隔授業では難しかった、つまずいている生徒への声掛けや、個々の生徒の進捗状況に応じた授業進行の見直しを臨機応変に行うことが可能になるという。

一方慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボは、遠隔授業システム監修を行う全国の遠隔授業システム研究協力高校、教育機関の参画を得て、生徒の記述内容をリアルタイムに共有する実証研究を開始させる。

SFC研究協力高校での実証風景

そして両者は今後、SFC研究所の複数の研究校で実証を半年間実施し、その評価結果を踏まえ、多様な遠隔会議システムと連携可能な授業システムの構築を行う。また、DNPは並行してビジネスモデルの策定と教育事業者・エンドユーザーへの提案を進め、2016年度秋の遠隔授業ビジネスの開始を目指すという。