進化し続ける35歳のストライカー、 アドゥリスのスペイン代表選出待望論

35歳で自身最高レベルのプレーを披露しているアドゥリス [写真]=Getty Images

 ユーロ2016開幕まで100日を切った現在、スペイン国内では本大会の招集メンバー決定に向けた最後のテストマッチとなる3月の代表戦を前に、ある選手の待望論が高まっている。第27節終了時点でリーガ・エスパニョーラの得点ランク6位、サラ賞(スペイン人得点王)争いでは首位を維持するアリツ・アドゥリス(アスレティック・ビルバオ)だ。

 2月11日に35歳の誕生日を迎えたベテランストライカーは、今シーズンすでに40試合以上に出場し、3500分を超えるプレー時間を積み重ねながら、キャリア最高のパフォーマンスとゴール数を維持し続けてきた。

 先日行われた第27節デポルティーボ戦でも、アドゥリスは圧巻のハットトリックで勝利の立役者となったばかりだ。バルセロナを4-1と粉砕した昨年8月のスーペルコパ・エスパーニャの第1戦、同11月のリーガ第13節ラージョ・バジェカーノ戦に続き、今シーズンのハットトリックはこれで3度目となる。

 まだシーズン終了まで2カ月近くもありながら、彼はデポルティーボ戦で自己ベストを更新するシーズン30ゴールに到達した。これは100年以上の歴史を持つアスレティック・ビルバオ史上4人目の快挙である。

「通常、人の体は時間の経過とともに衰えていく。でもフィジカルを同レベルに保つことができれば、経験を積み重ねる分だけ成長していくのが自然だろう?」

 先日、本人はあるインタビューでそう語っていたが、GKを除いて30代半ばにキャリアのピークを迎えるサッカー選手など滅多にいない。ボールコントロールやパス、シュートの技術や精度、状況判断などの能力が経験を重ねる中で伸びていくのはまだ分かる。だが20代の頃から武器としていた空中戦での跳躍力や滞空時間の長さ、球際の当たりの強さなど、年齢的に衰えてくるべきフィジカル能力は同レベルを保つどころか、30歳を過ぎた頃から年々進化し続けている印象すらあるのだ。

 昨シーズンから2年近くにわたって年齢を超越した驚異のパフォーマンスを維持してきたアドゥリスは、2010年10月のユーロ2012予選を最後に、長らく代表から遠ざかったままとなっている。

「アドゥリスが素晴らしいプレーを見せていることは認識しているが、我々は世代交代を進めている。この3人には現在だけでなく将来的にも期待している」

 アルバロ・モラタ(ユヴェントス)、パコ・アルカセル(バレンシア)、ジエゴ・コスタ(チェルシー)。昨年11月の招集メンバー発表の際、絶好調のアドゥリスではなくこの3人を選んだ理由について、ビセンテ・デル・ボスケは35歳という年齢がネックであると説明していた。

 ブラジルワールドカップ後、デル・ボスケ監督は若いパコ・アルカセルとモラタを前線の軸に据えて戦ってきた。そのことに異論はないのだが、だからといって現時点でスペイン最高のストライカーを年齢だけを理由に呼ばないのはいかがなものか。しかも彼が入るべき「大型FW枠」を占めるのは、初招集から2年近くが経過する今もさっぱりラ・ロハ(スペイン代表の愛称)のプレースタイルに馴染めていないD・コスタなのだから腑に落ちない。

 それでも3月のテストマッチでは、もしかしたらFWの人選に変化が生じるかもしれない。D・コスタは相変わらず未知数、パコ・アルカセルとモラタも所属クラブで出番が減っている中で、頑固頭のデル・ボスケも絶好調の35歳を無視できなくなってきたのだ。

「国民投票でメンバーを決めるわけではないが、誰もがアドゥリス、アドゥリス、アドゥリスと言っているのを無視することはできない」

「ブラジル後はモラタとパコ・アルカセルを中心に据えてきたが、アドゥリスは本当によくやっている。今後の招集には考慮したい」

 最近行われたインタビューにて、デル・ボスケはそう言ってアドゥリス招集の可能性を示唆していた。スペイン紙『マルカ』がウェブサイトで行ったアンケートでは、ユーロ2016で先発すべきFWとしてアドゥリスが62パーセント強を占めた一方、モラタは14パーセント、パコ・アルカセルは8パーセント、D・コスタは7パーセントにとどまっていた。

 本人は明言していないものの、デル・ボスケがユーロ後の引退を決意していることは周知の事実だ。ならば世代交代は後継者に任せ、最強メンバーを揃えて最後の大舞台に臨んでほしい。リストの中に35歳の名があってもなくても、みなが納得する23人が選ばれることを期待している。

文=工藤 拓

(記事提供/WOWOW)


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