東大など、放射性元素を長期間隔離する技術に応用可能な固定機構を発見

 

東京大学(東大)は3月7日、放射性元素による汚染の浄化に応用できる長期固定機構を発見したと発表した。

同成果は、東京大学大学院 理学系研究科 鈴木庸平 准教授、および日本原子力研究開発機構、京都大学、茨城高専らの研究グループによるもので、3月7日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

微生物のなかには、水に溶けたウランの酸化還元反応によってエネルギーを獲得し、それによって還元されたウランを固体として沈殿させる種があり、実際にウランで汚染された地下水に酢酸などの有機物を添加して微生物を活発化し、ウランを環境基準濃度未満まで下げることに成功している。しかし、生成したウランの固体はナノ粒子であり、このような小さな粒子は環境中で不安定なため、その長期安定性の確保が課題となっていた。

同研究グループは、岐阜県・瑞浪超深地層研究所の地下200~400メートルの地下水を6年間にわたり化学分析した結果、花崗岩中で硫酸呼吸する微生物が生息していることを2014年に明らかにしている。硫酸呼吸する微生物の多くがウランのナノ粒子を形成し、花崗岩はほかの岩石よりもウランの濃度が高いことが知られているため、同研究グループは、今回、微生物により沈殿したウランのナノ粒子の検出を実施。掘削により得られた岩石試料について、高空間分解能の電子顕微鏡を用いてウランの固体分析を行った結果、花崗岩の亀裂で地下水から沈殿した炭酸カルシウム鉱物の内部にウランがナノ粒子として取り込まれていることが明らかになった。

さらに、炭酸カルシウム鉱物にウランのナノ粒子が固定されていた期間を明らかにするために、直径2μmのレーザーを用いて、ナノ粒子のウランと鉛の同位体組成をプラズマイオン源質量分析計で測定したところ、ウラン—鉛同位体組成から算出された形成年代から、炭酸カルシウム鉱物中にウランのナノ粒子が90万年以上の期間にわたり安定に固定されていることが判明した。

炭酸カルシウム鉱物は結晶構造にストロンチウムを取り込むため、地下水中で微生物による炭酸カルシウム鉱物の形成を人為的に促進することで、放射性ストロンチウムの除去も可能であるという。同研究グループは、微生物による炭酸カルシウム鉱物とウランのナノ粒子の形成を、有機物の添加により同時に引き起こすことで、放射性元素を長期間にわたり生物圏から隔離する技術への応用が期待できるとしている。

(a)瑞浪超深地層研究所用地内に建設された大型地下研究施設坑道と試料を採取したボーリング孔のレイアウト図 (b)長さ1mの岩石コア写真 (c)亀裂を充填する炭酸カルシウム鉱物を伴う花崗岩 (d)ウランの分布を示すマッピング像 (e)ウランのナノ粒子の透過型電子顕微鏡像。図内の丸は試料採取地点または分析地点



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