東京農業大学(東京農大)と情報・システム研究機構 新領域融合研究センター・国立極地研究所(極地研)は3月7日、絶滅したニホンカワウソが日本で独自に進化した固有の生物であることをDNA解析によって明らかにしたと発表した。

同成果は、東京農大 農学部 バイオセラピー学科 佐々木剛 教授、極地研 瀬川高弘 特任助教らの研究グループによるもので、3月3日付けの米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。

これまでニホンカワウソは、進化史的にユーラシア大陸に生息するユーラシアカワウソと同一系統であると考えられてきた。今回の研究では、絶滅したニホンカワウソの高知県産個体と神奈川県産個体の毛皮や剥製標本からDNAを抽出し、次世代シーケンサーを使うことでDNA配列を決定。そして、中国、サハリン、韓国のユーラシアカワウソのDNA配列とともに分子系統解析を行った。

この結果、高知県産のニホンカワウソは、約127万年前に大陸から日本に渡ってきた古い系統であることが明らかになった。これは高知県産のニホンカワウソが大陸のユーラシアカワウソとは遺伝的に異なる独自の進化史を持っていたことを示している。

同研究グループは今後、解析個体数と地域を増やすことで、神奈川産の大陸系統の由来を明らかにし、本州におけるニホンカワウソの正体に迫っていく予定だとしている。

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