電通は3月4日、マスメディアへの接触を推定するアクセス・ログとWebオーディエンス・データ(Cookie ID/広告ID/TwitterのユーザーID)を統合することで、マスメディアとWeb広告の相乗効果を最大化し新たな価値を提供するという統合マーケティング・プラットフォームである「STADIA(β版)」(スタジア・ベータ版)を開発したと発表した。

STADIAの概念図

新プラットフォームは、同社のクラウドを利用するデータ解析プラットフォームである「Dentsu.io」(電通アイ・オー)を機能拡張してその内部に構築したもので、テレビの視聴を含むマスメディアの接触を推定するアクセス・ログ・データを集約し、オーディエンス・データとの統合解析を可能にするという。これにより、オフラインの接触状況に基づくWeb広告配信が可能になるとしている。

主な機能には、マスメディアへの接触状況や視聴者の嗜好性を解析する機能、マスメディアのアクセス・ログ・データをCookieや広告IDに変換・拡張する機能、各種データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)と接続する機能があるとのこと。

同プラットフォームの利用により、従来のメディアの露出情報やパネル・データだけを基にする世の中のモーメントに合わせたWeb広告の配信に加えて、マスメディアに対する個々人の実接触状況に基づいて規定したセグメントに対しWeb広告を配信することで、統合マーケティングの新たなKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)の設定・改善が可能になるという。

本格運用による統合マーケティングの実践に向けた取り組みの1つとして、テレビの視聴行動や番組の嗜好性に基づいてWeb媒体向けに広告を配信する「視聴ログ・ターゲティング」の実証実験を開始したとのこと。

インターネットに接続したテレビ受像機から取得できユーザーの利用許諾を受けた実視聴履歴や、IPGが保有する電子番組表スマートフォン・アプリ「Gガイドモバイル」の音声認識から取得できる視聴情報を基に、特定したCM接触者に対してDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)での広告配信や、テレビに関するTwitterの書き込み情報を基に推定したCM接触者に対するTwitter Ads APIでのプロモ・ツイート(Twitter上で「Promoted」というラベルを明示的に表示する広告の総称)の配信を行なった上で、キャンペーン後あるいは最中のPDCAにより統合マーケティングのKPI改善を図る取り組みという。

なお、視聴ログデータで特定もしくは推定した視聴者の質とWeb媒体の広告枠の質の相乗的な広告効果を高めるため、DSPでの主な広告配信先は、付加価値が高い限定したプレミアム広告枠を中心に形成する同社独自のPMP(プライベート・マーケット・プレイス)になるとのことだ。