熊本大、心拍数でてんかん発作の予知に成功 - ウェアラブルデバイス開発へ

 

熊本大学は3月4日、脳波ではなく心電図をもとに算出した「心拍変動」という指標からてんかんの発作を高精度で予測することに成功したと発表した。

同成果は、熊本大学大学院 先導機構・大学院自然科学研究科 山川俊貴 テニュアトラック助教、京都大学大学院 情報学研究科 藤原幸一 助教、東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 宮島美穂 助教らの研究グループによるもので、2015年12月24日付けの米科学誌「IEEE Transactions on Biomedical Engineering」オンライン版に掲載された。

てんかんは脳の慢性的な疾患で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により、発作を繰り返すという特徴がある。患者の約7割は抗てんかん薬の服用などで発作を抑制し、問題なく日常生活を営むことができるが、なかには薬の効きにくい難治性てんかんもあり、発作を予知する仕組みの開発が求められている。

てんかん発作の予知の方法として心拍数を用いたものがあるが、従来の変動解析手法による分析方法では、平常時と発作前の差がわかりにくく、また個人差も大きいため、偽陽性が多く、実用化は困難と考えられていた。

今回、同研究グループは、多変量統計的プロセス管理(MSPC:Multivariate Statistical Process Control)という工学的手法を用い、てんかん検査のために入院した患者14名の心電図データを解析した。この結果、91%という高い精度で発作を予知することができ、発作が起こる約8分前に予知することが可能であることがわかった。

同研究グループは、今回の成果によってウェアラブル発作予知デバイスが開発されれば、発作が起こる前に、患者自身で安全を確保する対策がとれるようになると説明しており、現在、実際にウェアラブルてんかん発作予知装置の開発を進めている。すでに、東京医科歯科大学医学部附属病院や国立精神・神経医療研究センター病院などの複数の医療機関において臨床研究を進めているという。

現在開発中のウェアラブル発作予知システム



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